「洗顔を変えれば肌が変わる」というのは本当です。
洗顔はスキンケアの中核です。誰もが同じことをしているように思えて、実際にはほんの僅かな違いが肌の良し悪しを決めてしまいます。
肌がキレイになるかどうかは洗顔が正しく行えているかどうかにかかっていると言っても過言ではないのです。
今回は、スキンケアの基本中の基本である正しい洗顔のやり方をまとめました。誰もが認める王道の洗顔方法をマスターしましょう。
正しい洗顔の3つのポイント
正しい洗顔のポイントは以下の3点です。
- 洗顔料 → シンプルな石鹸を使う
- 洗顔方法 → とにかく優しく洗う
- 洗顔時間 → 必ず30秒以内に終わらせる
見ての通り、王道のスタイルですね。よほど変わった美容法でなければ、共通して推奨されている方法だと思います。
この3点さえきちんと守れていれば、少なくとも、洗顔のせいで肌がダメになるという事態にはならないはずです。
逆に、やってはいけないNG洗顔はどのようなものかと言うと、
- 洗顔料 → 洗顔フォームはNG
- 洗顔方法 → 「しっかり洗う」はNG
- 洗顔時間 → 「時間をかけて丁寧に」はNG
一見正しそうに思えるものもありますが、どれもが肌をダメにする要因です。心当たりのある方もいるのではないでしょうか?
以下、正しい洗顔のやり方を「洗顔料」「洗顔方法」「洗顔時間」の順にそれぞれ詳しく見ていきます。
1)洗顔料
洗顔料に関しては、『基本的には石鹸、石鹸が使えないほどに肌が弱っているなら水洗顔』が鉄則です。
洗顔料の選択基準
どのような洗顔料を使うべきかは肌の状態によって変わってきます。
肌が健康な人=石鹸(浴用でもOK)
肌に優しく、余計なものが肌に残らない『石鹸』がベストです。石鹸はごく普通の浴用石鹸(普段手や体を洗っているもの)でも構いません。
肌がちょっと不安定な人=洗顔石鹸
やはり石鹸がオススメですが、普通の浴用石鹸だと刺激を覚えることもあります。肌に自信がない方は、最初のうちだけでも高品質な『洗顔石鹸』を使うようにしましょう。
肌が極度に弱っている人=水洗顔
いわゆる「超敏感肌」の人は、かならず『水だけで洗う』ようにしてください。洗顔フォームはもちろんNGですが、たとえ高品質な石鹸であっても、肌の回復を遅らせてしまいます。
洗顔料は石鹸が基本
洗顔料にはかならず石鹸を使いましょう。
石鹸は誰もが認める最良の洗顔料です。今時どの美容本を開いても、洗顔料は石鹸を使うようにと書いてありますね。
顔にいい洗顔料は何でしょう。これは伝統ある石けんが一番です。なぜなら、石けんの洗浄力は、肌にちょうどいいからです。『誤解だらけのスキンケア』p20,北原東一
結論として、洗顔料はシンプルな固形石けんがいちばんです。しっかりと汚れが落ちて、肌に余分なものが残らないからです。『スキンケア基本事典』p58,吉木伸子
毎日の洗顔を任せるのには、歴史も実績もある、シンプルな固形石鹸がもっとも適しているのです。
石鹸は何でもいいの?
石鹸が肌に優しいのは、あらゆる石鹸に共通する特性(水ですすぐと洗浄力を失う)のためです。なので、基本的には石鹸であればどのようなタイプのものでもメリットを享受できます。
肌が健康な人であれば、普段手や体を洗うのに使っている「浴用石鹸」で十分です。
一方、肌が弱っている人だと普通の「浴用石鹸」では刺激を感じてしまうこともあります。その場合には、もう少し気を遣って作られている「洗顔石鹸」の方が安心して使うことができます。
実際にどのような石鹸を選べばいいのかは「オススメの洗顔石鹸は?7つのタイプとそれぞれの特徴」にまとめてありますので、そちらを参考にしてみてください。
なぜ洗顔フォームはダメなの?
洗顔に石鹸ではなく、洗顔フォームを使っている方も多いと思います。洗顔フォームはドラッグストアなどに置いてあるチューブ入りの洗顔料です。
あまり知られていませんが、洗顔フォームは合成洗剤の一種です。石鹸に工夫を凝らしてリッチにしたものだと誤解している人もいますが、どちらかと言えば合成洗剤で石鹸(のようなもの)を作ったものです。
洗顔フォームで顔を洗うと、どんなにすすいでも洗剤成分(合成界面活性剤)が肌に残留します。そのため、使いつづけると乾燥肌や肌トラブルの原因になります。
クレンジング剤のように「とんでもなく肌に悪い」というわけではありませんが、石鹸に比べて肌に悪いことも事実ですから、自分の肌に自信のない方は使わない方が賢明です。
特に原因不明の乾燥肌に悩まされている人は、洗顔フォームを使用していることが原因である可能性もあります。石鹸という肌に優しい洗顔料があるのですから、そちらを使うようにしましょう。
石鹸が使えない場合は水洗顔にする
基本的に石鹸は肌質を問わずオススメできますが、あまりにも肌が弱っていると石鹸が使えないこともあります。
石鹸で洗顔をしたときに、
- 痛くて耐えられないほどに肌がつっぱった
- 肌がヒリヒリと染みるような痛みを覚えた
- 洗顔後の肌が真っ赤になった
などの症状がでたときは石鹸を使用してはいけません。肌のバリア機能が極度に弱って、俗に言う「超敏感肌」になっている証拠です。
肌が痛んでボロボロになっていると、洗顔料の刺激が肌の奥にまで届いてしまいます。そうすると肌は炎症を起こして大ダメージを受けてしまいますから、洗顔料の使用を即刻中止しなければなりません。
石鹸が使えないほどに肌が弱っている場合は、かならず水だけで洗顔をするようにします。これはいわばリハビリ期間です。
たとえ「敏感肌用」などと謳った洗顔料であっても使用は厳禁です。とにかく肌を回復させることを最優先にし、汚れを落とすのは最小限に留めます。可能な限り肌をそっとしておきましょう。
だいたい2週間~1ヶ月ほど水だけの洗顔をつづければ、肌の状態はかなりの程度まで回復してくるはずです。そうなってからはじめて、石鹸洗顔に移行するようにしましょう。
2)洗顔方法
洗顔のやり方で重要なことは、とにかくやさしく洗うことに尽きます。
これは言い換えれば「洗いすぎない」ということです。
「汚れをしっかり落としましょう」などと言いますが、本当にそんなことをしていては間違いなく慢性的な乾燥肌になってしまいます。
以下、正しい洗顔方法を実践する上で注意すべき点を箇条書きにしました。NG行為をやっていないか一度確認してみてください。
1)絶対に肌を擦らない
肌に対して「擦る」という行為は厳禁です。
今時ゴシゴシと洗っている人は少ないと思いますが、指先でちょっと擦る程度でも肌はダメージを受けてしまいます。
洗顔料の泡は化学的な反応によって汚れを水に溶かします。
有名な台所用洗剤のCMで、油の張った水に洗剤を一滴垂らすと一瞬のうちにパーッと油膜が消えてしまう、というものをご存じでしょうか?
洗顔料も洗剤としての仕組みは同じです。泡を肌の上にポンと乗せると、肌の上で見る見るうちに油汚れと反応して水に溶かし出します。肌を擦る必要は一切なく、洗顔料の泡をそっと触れさせるだけで十分なのです。
洗顔中の肌はただでさえふやけて脆くなっています。力を入れて擦っても肌がキレイになることはなく、単にダメージを受けて肌が荒れるだけなので絶対にやめましょう。
2)洗顔料を使いすぎない
「たっぷりの泡で洗うのが良い」というのは誤りです。
洗顔料はあくまでも洗剤の一種です。たくさんの量を使えばそれだけ肌が乾燥しやすくなります。食器洗いをするときに使う洗剤の量が多ければ多いほど手が荒れやすいのと同じです。
肌の上にはそれほど多くの汚れが存在するわけではありません。不必要に大量の洗顔料を使ってしまうと、汚れに対して洗顔料が余ります。そうして余った分の洗浄力は肌の潤いを奪う方向に働きます。
1回の洗顔に使う泡はピンポン玉大くらいあれば十分です。
3)水温は低めにする
洗顔に使う水温は「肌に触れてちょっと冷たく感じるくらい」が理想です。
『肌の悩みがすべて消えるたった1つの方法』の宇津木氏は「ぬるま水」と表現していましたね。ぬるま湯では少し水温が高すぎるということです。
水温が高ければ高いほど、肌の潤い成分(細胞間脂質)が溶け出す量が増え、それだけ肌が乾燥しやすくなります。
特に冬になるとついつい温かいお湯で洗顔しがちですが、冬は皮脂の分泌量が少なく、また空気が乾燥している季節なので、むしろ普段以上に水温の低い水を使わなくてはいけません。
基本的に冷たい分には問題がありませんが、氷水までいってしまうと肌が過敏に反応してしまうことがあるので、あくまでも肌に心地よい程度の冷たさにしましょう。
4)すすぎにシャワーを使わない
シャワーの水流を顔に当ててすすぎをするのはやめましょう。
お風呂で洗顔をした後などついついやってしまいがちですが、シャワーの水流によって肌の保湿成分がゴリゴリと削られてしまいます。
肌は肉眼レベルでは丈夫な一枚皮に見えますが、実際にはミクロレベルの細胞や脂質が集まってできています。水でふやけて脆くなっているときに勢いのあるシャワーを当ててしまうと、目には見えなくても肌の構成要素が削られてしまいます。
せっかく肌を擦らずに洗顔をしても、強い水流を当ててしまえば同じことです。ただでさえ洗顔後の肌は保護剤である皮脂を取り除いたばかりの状態ですので、手で水をすくって優しくすすぐようにしましょう。
5)タオルオフは優しくしっかりと
水気をタオルオフするまでが洗顔です。
水気を取るときは「拭き取る」のではなく、タオルをそっと顔に当てて水気を吸わせるようにしましょう。タオルを動かして拭いてしまうと、ふやけた角質がめくれてしまい、乾燥や粉ふきの原因になります。
また、水気はしっかりと取る必要があります。肌に水分が残っていると、それが蒸発するときに肌表面の角質がカールしてめくれあがります。顔をタオルに当てたら数秒間はそのまま押し当てて、タオルの繊維に水気をしっかりと吸わせるようにしましょう。
3)洗顔時間
『あなたは普段“何秒間”洗顔をしていますか?』そう聞かれてハッキリと答えられるでしょうか?
時間を意識して洗顔をしている人は少ないと思いますが、洗顔時間の長さは肌の良し悪しに直結します。洗顔にかける時間が10秒違えば肌はまったくの別物になると思ってください。
正しい洗顔をする上で極めて重要なポイントでありながら、同時に盲点になりやすい部分です。洗顔時間を常に意識して洗顔を行うように心がけましょう。
洗顔は時間との戦い
洗顔とは「洗剤を使って肌を洗う」という行為です。
洗顔料の泡は白くてふわふわしてなんとなく優しそうな感じがしますが、その正体は水に溶かした洗剤です。洗顔中は顔の上に洗剤を乗せている状態にある、ということを忘れてはいけません。
洗顔料は簡単に言うと「油を水に溶かす」成分です。肌の上の油汚れを効率よく落とすことができる反面、肌に含まれる油も一緒に溶かし出してしまうという一面も持っています。
この油は「細胞間脂質」と呼ばれる、セラミドなどからなる肌の保湿成分です。それが流出すればそれだけ肌の保湿力は低下し、乾燥するようになります。
重要なのは、洗顔料が肌に触れている時間です。食器を洗っている時間が長ければ長いほど手の肌が荒れやすくなるように、洗顔料の泡が長く肌に触れていると肌荒れの原因になります。
時間をかけて丁寧に洗顔をしてしまっている人が多いですが、洗顔はいかに手早く終えることができるかという時間との戦いなのです。
洗顔時間は15~20秒が理想
洗顔料が肌に触れている時間は15~20秒が理想です。どんなに長くても30秒が限度です。
もっと時間が短くても構いません。肌が弱っている人ほど洗顔時間は短めにする必要があります。ただ、洗顔時間の短縮を考えるあまり洗い方が乱暴にならないようにだけ気をつけましょう。
肌の上の汚れを落とすのに時間をかけて洗顔する必要はありません。洗顔料を顔にサッと塗り広げた時点で、落とすべき汚れのほとんどはすでに水に溶け出しています。北原東一氏の言葉を借りれば「石けんで洗っている時間は5秒でもいいくらい」(『誤解だらけのスキンケア』p22)なのです。
とにかく長すぎるのだけはNGです。洗顔にかける時間が長ければ長いほど肌がダメになると思っておいて構いません。
洗顔にどれくらい時間をかけるかはもう習慣化してしまっていることが多く、よほど意識しないと改善することができません。ストップウォッチを用意しろとまでは言いませんが、最初のうちは「1,2,3……」と心の中で数えながらするようにしましょう。
まとめ
以上、正しい洗顔のポイントを見てきました。
洗顔はスキンケアの基本中の基本でありながら、正しく行えている人が非常に少ない部分でもあります。
間違った洗顔をしていても、すぐにそれとわかる形でトラブル化することはありません。一度や二度NG洗顔をしたところで、肌がすぐにどうにかなるというわけではないのです。
しかし、洗顔は一年で700回以上も行うのです。たとえ一度きりなら-1の間違いでも、一年後には-700以上の大きな負債になります。
そうして肌質そのものが劣化し、なぜか肌が年中乾燥するようになった、毛穴が目立ってきた、ニキビがよくできるようになった……など一見すると洗顔のせいとは思えないような形でトラブルが発生し、長年のツケを払うことになるのです。
正しい洗顔をつづけていれば、肌は自然と健康でキレイな状態に戻っていきます。一度自分の洗顔方法を見直し、正しい洗顔を心がけましょう。