毛穴の黒ずみには石鹸?洗顔フォーム?
毛穴の黒ずみ対策をする上で、最初の選択は洗顔料を石鹸にするか洗顔フォームにするかという問題です。とても重要な決断ですから、イメージだけで選ばないようにしましょう。
洗顔料一つで
毛穴の黒ずみ対策をはじめる上で誰もが最初に迷うのは、洗顔料をどうするかという問題だと思います。
肌と毛穴の状態は洗顔(とクレンジング)で8割方決まってしまいます。それだけに洗顔料の選択はとても重要になってきます。
とはいえ、洗顔料を具体的に決める前に一つ決断しなければならないことがあります。
それは、石鹸を使うか、洗顔フォームを使うか、という問題です。
これは一般的に考えられている以上に大きな違いを生んでしまう選択です。
石鹸と洗顔フォームの間にある決定的な違いに比べれば、それぞれにおける各種メーカーや具体的な商品の違いなど些細なものです。
毛穴の黒ずみには石鹸がベスト
先に結論を言ってしまえば、毛穴の黒ずみを治すために選ぶべきは石鹸です。
とは言っても、別に毛穴の黒ずみに“効く”成分が石鹸に含まれているからではありません。
そうではなく、石鹸は洗顔フォームに比べて肌と毛穴に負担をかけないため、痛んだ毛穴が自力で回復するだけのゆとりを作ってあげられるからです。
言わば、石鹸は“消極的な意味で”毛穴の黒ずみにイイのですね。
それがなぜかはこれから詳しく説明しますが、洗顔料を洗顔フォームから石鹸に変えるだけで、毛穴の黒ずみを治すためのハードルは確実に下がります。
軽度のものであれば、洗顔フォームから石鹸に変えただけで毛穴の黒ずみが治ることも少なくはないのです。
なんとなくで洗顔フォームを使っている人は、それだけで損をしているのです。
本当に石鹸で顔を洗って大丈夫?
石鹸で顔を洗うのになんとなく抵抗感を覚える人も少なくないと思います。
洗顔フォームの方がおしゃれで最先端な感じがしますし、いろいろ肌に良さそうな成分が入っていそうな印象もあるかもしれません。
石鹸の方は“昔ながら”でなんとなく“芋い”イメージがありますし、イイとはよく聞くけれど一部の自然派志向の人たちが持ち上げているにすぎないのでは?と思う人もいるでしょう。
私たちが慣れ親しんでいるような大量生産型の石鹸の値段の安さ、質の低さも影響を与えているかもしれませんね。
本当に高品質な石鹸に触れたことがある人は一握りしかいないでしょう。
洗顔フォームはデリケートな顔を洗うもの!石鹸はあくまで体を洗うもの!ゆえに、洗顔フォーム>石鹸である!という認識が生まれるのもわかるような気がします。
しかし、洗顔フォームが石鹸よりも洗顔に適しているなんてことは全くないのです。
知れば評価はひっくり返る
多くの人が洗顔フォームと石鹸に対してなんとなく持っている印象は、それらをもう少しよく知りさえすれば必ずひっくり返ります。
「石鹸を洗顔に使うなんて…」が「洗顔フォームを洗顔に使うなんて…」に変わります。
化粧品をイメージの世界で考えるのはとても危険です。
たとえば、洗顔フォームを「洗顔用合成洗剤」と言い換えるだけで、肌に良さそうなイメージは吹き飛んでしまうのではないでしょうか?
「合成洗剤」だなんて肌に悪そうな感じがしますよね?
しかし、それすらもただのイメージに過ぎません。
合成でも天然でも植物由来でも石油由来でも、そんなことはどうでもいいのです。
洗顔料として石鹸が優れているのは別に天然だからではありませんし、洗顔フォームが肌に悪いのは合成=ケミカルだからではありません。
ただ単純に、界面活性剤としての両者の化学的性質の違いから、石鹸よりも洗顔フォームの方が肌に悪影響を及ぼすという事実があるだけなのです。
石鹸と洗顔フォームの違い
石鹸と洗顔フォームのどこに違いがあるかを知れば、どちらを選ぶべきかで迷うこともなくなります。両者の性質の違いを簡単に見ていきましょう。
「石鹸」と「石鹸以外の界面活性剤」
石鹸は、石鹸という名の界面活性剤です。
一方、洗顔フォームは「合成」界面活性剤と呼ばれる成分でできています。
一般的に洗剤と呼ばれているものはすべて界面活性剤です。もちろん、石鹸も洗顔フォームも界面活性剤の一種です。
ただ、洗顔フォームの方には頭に「合成」の二文字がつきます。
とはいえ、「石鹸だって化学的操作によって合成された界面活性剤だろ!」と言われればその通りで、「合成界面活性剤」という名称自体にはあまり意味がありません。
単に「石鹸以外の界面活性剤」を「合成界面活性剤」と慣例的に呼んでいるだけです。
このようにわざわざ「石鹸」と「石鹸以外の界面活性剤=合成界面活性剤」とが区別されているのには、それなりの理由があります。
界面活性剤のなかで石鹸だけが持っている特殊な性質があり、その性質があるかないかで、肌に対する働き方に大きな違いを生むからです。
『合成界面活性剤は肌を破壊する』の真相
石鹸と洗顔フォームについて調べたことがある人なら、『合成界面活性剤は肌を破壊する』というフレーズを一度ならず目にしたことと思います。
この言い回しだと、あたかも合成界面活性剤には肌を破壊する特別な力が備わっているかのように聞こえますね。
しかし、実際にはそんなことはありません。
この「肌を破壊する力」というのはすなわち「洗浄力」のことです。ゆえに、それ自体は石鹸にだって備わっています。
たとえば石鹸で延々と手を洗い続ければ、手の肌はやはりボロボロになります。
洗浄力は油を分解する力であり、人間の肌は油(とタンパク質)でできています。「肌を破壊する力」自体はあらゆる洗剤が普遍的に持っているものです。
では、なぜ合成界面活性剤だけが危険視されるのかというと、石鹸が持っているある性質を合成界面活性剤が持ち合わせていないからです。
石鹸が肌に優しい理由
洗顔後にどれだけすすぎ洗いを徹底しようと、洗顔料の成分はかならず肌の上に残留します。
これは石鹸でも洗顔フォームでも変わりません。
上に書いた通り、人間の肌は油(とタンパク質)でできています。そして界面活性剤は二本の手でそれぞれ油と水にくっついて両者の仲介をする成分です。
そのため、界面活性剤は片方の手で肌(=油)にくっついて離れなくなってしまうのです。
ただ、石鹸には“大量の水に触れると洗浄力(界面活性能)を失う”という特性があります。
石鹸を使っても肌に石鹸の成分は残留しますが、すすぎを行った時点でそれはもう石鹸=洗剤ではなくなっているのです。
この特性が肌に対して非常にフレンドリーなのですね。
“洗顔中しか洗浄を行わない”という当たり前のことを当たり前にやってくれるところが、石鹸の最大の良さなのです。
洗顔フォームが肌に悪い理由
洗顔フォームは「合成」界面活性剤です。
そして合成界面活性剤には石鹸のような特性はありません。
それゆえ、肌に残留した洗顔フォームの成分はそのまま洗剤として働きつづけます。すすぎ後もじわじわと肌を洗浄しつづけるわけです。
洗浄といってもそこで分解されているのは汚れだけではありません。肌を構成している油も容赦なく分解されます。
そうして分解された油は次回の洗顔時に水に流し出されていきます。
肌はよくレンガとモルタル(セメント)に喩えられるように、タンパク質のレンガを油というセメントで固めたような構造になっています。
レンガ同士を固めているセメントが溶かされてしまえば、レンガ組みはボロボロに崩れてしまいますね? 肌の場合も同じです。
洗剤に油を奪われた肌がどうなるかは、皿洗いで手荒れが起きたときのスッカスカになった肌を思い浮かべればいいでしょう。
石鹸と洗顔フォームの肌への優しさの差
すべての洗剤(界面活性剤)は「油汚れを落とす力」と「肌を破壊する力」を兼ね備えています。そしてこれらは表裏一体、一つのものです。
油汚れも肌も油でできており、洗剤は油を分解して水に溶かし出すものだからですね。
これはもう洗剤というものの原理上どうしても避けられないことです。たとえ石鹸であっても肌に触れる時間が長すぎれば肌は壊されてしまいます。
ただ、石鹸は汚れを必要なだけ落としたら「ハイ、そこまで!」と適当なところで洗浄を切り上げることができます。それを可能にする都合の良い性質が備わっているのです。
一方、洗顔フォーム(合成洗剤)にはこの機能が完全に欠けています。
本人は適当なところで洗顔を終えたつもりでも、肌に残留した洗剤の成分はいつまでも洗浄力を失わず、結果としてじわじわと肌を破壊しつづけてしまうのです。
石鹸と洗顔フォームの肌への優しさの差は、天然だとかケミカルだとか、植物由来だとか石油由来だとか、そんな部分で決まっているわけではありません。
ただ純粋に“洗剤としての肌への残留性”の差なのですね。
石鹸よりも洗顔フォームの方が黒ずみができやすい
ここまでくれば毛穴の黒ずみを治すために石鹸を選ぶべき理由がわかると思います。洗顔フォームは毛穴の黒ずみの解消を妨げる一因になってしまうのです。
洗顔フォームは黒ずみ最大の原因“洗いすぎ”を招く
洗顔フォームが洗顔後も洗剤として肌に残ってしまうということは、言い方を変えれば“洗いすぎ”を招くということです。
そして毛穴の黒ずみを生む最大の原因はまさにこの“洗いすぎ”なのです。
ようやく毛穴の黒ずみに戻ってくることができました。
ここまで毛穴の話がなかなか登場しないことにやきもきしていた方もいるかもしれませんが、これまでに登場した「肌」という単語はすべて「毛穴」に置き換えても通用します。
毛穴は肌で作られたポケットです。平らな肌も毛穴を形作っている肌も構造は同じですし、洗顔料から受ける影響もまったく同じです。
洗顔時、洗顔料の泡は必ず毛穴にも触れます。当然ながら、毛穴の表面にも洗顔フォームの成分が残留し、その洗浄力でじわじわと壊していきます。
そうして毛穴が痛んでボロボロになったときに、角栓や汚れが詰まるようになって黒ずみができるのです。
石鹸よりも洗顔フォームの方が毛穴の黒ずみができやすい
ここまでくれば、「石鹸よりも洗顔フォームの方が毛穴の黒ずみができやすい」と言い切ってしまっても許されるでしょう。
もちろん、洗顔フォームを使えば必ず毛穴の黒ずみができるわけではありませんし、石鹸を使っていれば絶対に黒ずみができないわけでもありません。
洗顔フォームを使って10秒だけ洗顔するよりも、石鹸を使って1分以上も洗顔する方が毛穴に与えるダメージは大きいでしょうし、結果的に毛穴の黒ずみもできやすいでしょう。
ただ、同じ洗い方であれば石鹸の方が“洗いすぎ”になりにくいことは間違いありません。
それゆえ、石鹸よりも洗顔フォームの方が黒ずみができやすいと言えるのです。洗顔フォームを使うと“洗いすぎ”にならないためのハードルが上がるのですね。
そしてどれだけハードルが上がったのか、私たちには見えないわけです。
石鹸は洗顔時にしか洗浄力を発揮しませんから意識的にコントロールできます。
ですが、洗顔フォームは私たちの知らないところでじわじわと洗浄をつづけるわけですから、洗顔の度合いをコントロールする術がありません。
毛穴の黒ずみを治すために超えなければならないハードル
上で「“洗いすぎ”にならないためのハードルが上がる」と書きました。
このハードルは、すでに毛穴の黒ずみができてしまっている人にとっては、黒ずみを治すために超えなければならないハードルでもあります。
毛穴の黒ずみを治すためには、何よりもまず“洗いすぎ”をどうにかする必要があります。
黒ずみを生んだ原因をそのままにしておいて黒ずみが治るはずがありませんからね。
毛穴の黒ずみがいつまで経っても治らないのは、痛んだ毛穴の修復がいつまで経っても終わらないからです。
肌にしろ毛穴にしろ、本来ならダメージを受けると肌が勝手に治してくれます。転んで肌を思いっきり擦り剥いてもすぐに治してしまうくらい、肌の自己修復能力は優秀です。
その働きを全力で邪魔しているのが“洗いすぎ”なのですね。
洗顔は毎日行うものですから、少しでも“洗いすぎ”に傾いていると毛穴が毎日繰り返しダメージを受けます。修復した端から壊されていったのでは治るものも治らないわけです。
毛穴の黒ずみ対策には迷わず石鹸を
ここまで読んでいただけた方であれば、洗顔フォームを使いつづけることがどれほど黒ずみ解消を遠ざけることになるかはご理解いただけると思います。
冒頭でも書いたとおり、洗顔フォームをやめるだけで毛穴の黒ずみが治ってしまう人もいるくらいなのです。
なんとなく石鹸を使うことに抵抗感があるのはわかる気がしますが、“なんとなく”でその可能性を潰してしまうのは非常にもったいないことです。
何はともあれ、試しに石鹸を一度使ってみることをオススメします。
安物の石鹸でさえなければ、洗顔フォームと何ら使用感に変わりがないことがわかると思います。そして使用感は変わらなくても肌と毛穴への負担は大きく違ってきます。
使ってみてどうしてもダメだと思ったら捨てればいいだけの話です。
毛穴の黒ずみを本気で治したいと思ったら、まずは洗顔フォームを石鹸に変えてみるところから始めてみましょう。