「石鹸は肌に合わない」と諦める前に
日々の洗顔に使う洗顔料は石鹸がベストです。
しかし一方で「石鹸は肌に合わない」と考えている人が多いのも事実かと思います。
「石鹸で洗顔したら顔がつっぱった」
「チクチクピリピリするような刺激を感じた」
このような経験をした人が「自分の肌質に石鹸は合っていないのだ」と考えるのは当然のことにも思えます。
ですが、もし本当に肌質や体質の関係から石鹸が合わない人がいたとしたら、手や体を石鹸で洗うこともできないはずです。顔でも体でも同じ肌ですし、顔だけ肌質が違うなんて話はありませんからね。
本当に肌質や体質のために石鹸が合わないという人は100人に1人もいません。
残りの99人は、以下に挙げる三つの原因のどれかによって石鹸洗顔に違和感を感じるようになっています。
「石鹸は肌に合わない」といって黒ずみ対策の最善手を手放す前に、本当に石鹸洗顔ができない肌なのかどうか確かめてみましょう。
石鹸洗顔で肌がつっぱる原因
石鹸洗顔で肌がつっぱったり、刺激を感じたりする原因には以下の三つが考えられます。
・品質の低い石鹸を使っている
・石鹸の弱アルカリに耐えられないほど肌がダメになっている
このうち、本当に石鹸を使うべきではないのは一番下の場合だけです。
「石鹸が肌に合っていない」と考えている人の多くは上の二つが原因になっています。これらは洗顔方法を改善するなり、高品質な石鹸に変えるなりすれば簡単に解決する問題です。
石鹸洗顔をすると肌がつっぱるという人は、まずは自分がどのタイプなのかを見極めましょう。そして本当に石鹸洗顔ができないかどうか再検討してみましょう。
以下それぞれのケースを詳しく見ていきます。
洗いすぎている
つっぱる原因としてもっとも多いのは、単純に“洗いすぎ”になっていることです。
洗顔料の力は強力です。洗顔時間が数十秒長いだけで簡単に洗いすぎになってしまいます。この点は石鹸も洗顔フォームもまったく同じです。洗浄力も両者で大差ありません。
ただ、石鹸と洗顔フォームでは洗剤としての性質が異なるため、洗い上がりの感覚としては両者のあいだに大きな違いが生まれてきます。
洗顔フォームの場合
洗顔フォームの場合、すすぎ洗い後も洗剤成分(合成界面活性剤)が肌に残留して“なんちゃって保湿効果”を発揮します。
そのため、洗顔後の急激な水分の蒸発がいくぶん緩和され、少しくらい洗いすぎていてもつっぱり感を覚えません。
しかし、まさにこの「洗剤が肌に残りつづける」という性質が“洗いすぎ”を招き、肌トラブルの原因になってしまっているのです。
洗顔フォームの使用感の良さ(洗い上がりのしっとり感)はそのまま、洗顔フォームが肌に悪いということの裏返しなのです。
石鹸の場合
石鹸の場合でも成分はやはり肌に残留しますが、すすぎで大量の水に触れると洗剤としての能力を失います。
この特質のおかげで石鹸は肌に優しいものになっているのでした。
しかし、これは同時に洗顔フォームのような保湿効果が生まれないということでもあります。“洗いすぎ”になっていれば、それがそのまま洗顔後のつっぱり感として反映されます。
とはいえ、これは別に悪いことではありません。
つっぱり感というフィードバックがあるおかげで、洗いすぎになっていれば嫌でもわかります。つっぱり感が洗いすぎていないかどうかの目安になるわけです。
洗顔フォームは“なんちゃって保湿効果”のせいでフィードバックがありません。それゆえ、洗いすぎになっていてもそれに気づけず、いつの間にか肌がダメになっていたという事態を招くのです。
洗い方を控えめにすれば解決する
石鹸洗顔のつっぱり感が単に洗いすぎによるものであれば、洗い方を控えめにするだけで解決します。
擦らず優しく洗うというのも大切ですが、何より石鹸の泡が肌に触れている時間を短くすることが重要です。
30秒以上も洗顔していたら皮脂膜が根こそぎ洗い流され、肌の保湿成分まで溶かし出されてしまいます。洗顔フォームのような誤魔化しがないだけに、つっぱり感を覚えるのは当然のことです。
長くても30秒以内、それでもつっぱるという人は10~20秒程度で洗顔を切り上げましょう。それでも汚れは十分に落ちています。
低品質な石鹸を使っている
品質の低い石鹸は、肌がつっぱったりチクチクしたりする原因になります。
遊離アルカリの仕業
安価な石鹸を使うと、肌がピリピリチクチクするような刺激を感じることがあります。
これは石鹸にごく微量含まれる“遊離アルカリ”という不純物の仕業です。
石鹸は弱アルカリの洗剤ですが、ほとんどの肌にとってこの点は問題になりません。肌にはアルカリ中和能と呼ばれる働きがあり、少しくらいのアルカリであればビクともしません。
しかし、この“遊離アルカリ”は強アルカリの物質なのです。
強アルカリといっても石鹸にごく微量しか含まれていないため、それなりに健康な肌であればこれすらも問題にはなりません。
実際、安価な石鹸で体を洗うと肌がピリピリするという人はあまりいないでしょう。
ですが、肌が弱っているとこの“遊離アルカリ”に敏感に反応して、ピリピリチクチクとした軽い痛みを生じてしまうのです。
高品質な石鹸を使えば解決する
これも簡単な話ですが、高品質な石鹸を使えばそれで解決します。
必ずしも高価=高品質なわけではありませんが、ちゃんとした石鹸を使えば肌に与える刺激が全然違ってきます。
品質の高い石鹸は不純物を丁寧に取り除いているため、遊離アルカリの残留量が非常に低くなっているのですね。
遊離アルカリは多くの人にとって石鹸洗顔を躊躇させる要因になっています。安価な石鹸でしか洗顔をしたことがない人は、一度試しに品質の高い石鹸で洗顔をしてみるといいでしょう。
石鹸の弱アルカリに耐えられないほどに肌が弱っている
上で述べた二点は、洗顔方法や石鹸の品質を改善すれば簡単に解決することができます。
ですが、この最後のケースだけは話が別です。
肌が弱りに弱っていると石鹸洗顔はできない
石鹸は弱アルカリの洗剤です。
上でも述べたように、この点はほとんどの人にとって問題になりません。
ですが、あまりにも肌が弱っていると、遊離アルカリうんぬん以前に石鹸自身の弱アルカリにすら耐えられないケースが出てきます。
このような肌に石鹸を使うことはできません。炎症を起こしてしまい、肌がさらに荒れてしまいます。
高品質な石鹸を使い、“洗いすぎ”にならないように十分気をつけて、それでもなお肌がピリピリとした刺激を感じた場合には、石鹸の使用を断念しなければなりません。
石鹸が使えない人用の洗顔方法
では、石鹸が使えないほど肌が弱った人はどうすればいいか?
これにはとっておきの洗顔方法があります。
洗剤(界面活性剤)を使わず、純粋なクリームだけを使う洗顔法です。水洗顔よりも汚れ落ちがよく、石鹸洗顔よりも刺激の少ない洗顔法になります。
実際、石鹸洗顔ができる人でもこちらの洗顔法でいいくらいなのですが、ほんの少しだけ面倒な方法ではあります。
まとめると
一度ちゃんとした石鹸&洗顔方法で試してみるのがいちばん手っ取り早いです。
とりあえず試してみる
石鹸洗顔をすると肌がつっぱたり、ピリピリチクチクするような刺激を感じる人でも、石鹸洗顔を諦める前にまずは以下の二つを試してみましょう。
・高品質な石鹸を使ってみる
大半の人は上の二つで解決します。本当に石鹸の弱アルカリに耐えられないほど肌が弱っている人はそれほど多くないと思います。
上の二点を試してみてそれでも症状が改善されない場合は、石鹸に耐えられないほどに肌が傷んでいるということですので、石鹸洗顔はキッパリと諦めましょう。
洗顔フォームはもっとダメ
石鹸が使えないからといって、では洗顔フォームで…という話にはなりません。
石鹸がダメなら、洗顔フォームはもっとダメです。
繰り返し述べているように、洗顔フォームは石鹸以上に肌に負担をかけます。石鹸を使えないほど弱った肌に洗顔フォームを使うのは厳禁です。
むしろ洗顔フォームを使って執拗に洗われてきたことが原因で、石鹸に耐えられないほど肌がダメになってしまったのです。
洗顔フォームは“なんちゃって保湿効果”のおかげでつっぱり感を覚えませんし、石鹸のアルカリのような刺激もありません。
しかし、洗顔フォームがマイルドなのは“使用感”だけです。使用感とは無関係に肌に洗剤成分が残留してじわじわとダメージを与えます。
弱った肌が回復するゆとりを奪うことになるので、このような肌に洗顔フォームを使うのだけは絶対にやめましょう。
石鹸がダメな場合の洗顔法
石鹸がどうしてもダメな場合は、肌が石鹸に耐えられる水準になるまでクリームでの洗顔をしましょう。
普通の洗顔料を使った洗顔に比べるとほんの少しだけ手間のかかる洗顔法になりますが、傷んだ肌にとってこれ以上なく優しいものです。
かかる負担が少なくなれば、肌は徐々にですが着実に回復していきます。
肌が回復してきて石鹸の刺激に耐えられるようになったら、そのときに石鹸洗顔に切り替えましょう。
具体的に試すなら
自分が石鹸洗顔可能な肌かどうかを具体的に知ろうと思ったら、シンプルで低刺激な石鹸を用意し、こちらに書いてあることを守って一度洗顔してみましょう。
そうすれば石鹸洗顔ができる肌かどうかが一発でわかります。
上の通りに洗顔してみて、それでもやはり肌が異様につっぱったりピリピリチクチクするなら、それはもう石鹸のせいでも洗顔方法のせいでもありません。肌が弱りに弱っているのです。
もしダメなら石鹸はしばらく封印してクリーム洗顔に切り替えましょう。肌の状態が回復してくれば石鹸も使えるようになります。
こればっかりは実際にやってみないことには判断が付きませんので、何はともあれ一度試してみることをオススメします。