敏感肌の人では肌バリアが不完全になっているため、乾燥や外的刺激から肌を保護するアイテムが必須になります。
保護ケアのためのアイテムには、保湿クリーム・乳液・ジェルなどの種類がありますが、中でもいちばん保護力が高いのが保湿クリームです。
一方で、敏感肌は化粧品による刺激を受けやすい状態にあり、使用できる化粧品の範囲が限定されます。肌が炎症を起こしては元も子もないので、刺激の少ない処方になっていることが大前提になります。
この記事では、敏感肌の人でも安心して使うことができる低刺激な保湿クリームを紹介します。
1)敏感肌に適した保湿クリームとは?
具体的なおすすめ商品を紹介する前に、そもそも敏感肌に適した保湿クリームとはどのようなものなのか?を簡単に解説します。
特定の成分を使っていないだけで「低刺激」と謳うような化粧品が多いため、しっかり判断できる目を持つことが重要です。
肌に浸透しにくいこと
敏感肌用の保湿クリームに第一に求められるのは、肌に浸透しにくい設計になっていることです。
基本的に化粧品は肌に浸透させた方が高い効果を得られます。しかし、バリア機能が損なわれている敏感肌の場合には、浸透性の高さはそのまま炎症のリスクに直結します。
そのため敏感肌の人には、肌に浸透して高保湿をするようなクリームではなく、肌に浸透せずに表面を覆って保護するようなクリームが適しています。
どれほど肌に良い成分であっても角質層の奥にまで入り込めば異物でしかなく、肌は生体として免疫反応を起こします。クリームをつけたときにチクチク・ピリピリした刺激感や赤み・痒み・火照りなどが出たなら、それは肌に侵入してしまっている証拠です。
敏感肌向けに真面目に作られたクリームであれば、できるだけ分子量の大きな成分が使われており、肌バリアに隙間ができていても容易に入り込まないように工夫されています。
刺激の少ない成分でできていること
敏感肌用の保湿クリームには、油剤・乳化剤・保湿剤・その他のあらゆる成分において皮膚刺激が少ないことが求められます。
成分表をすべて読むのは難しいと思いますが、敏感肌の人が保湿クリームを選ぶときには、
・植物性油脂がメインになっていないこと
・刺激の少ない乳化剤(界面活性剤)が使われていること
くらいは最低でも確認するようにしましょう。
また、美容成分があれこれ詰め込まれているものも避けた方が無難です。特に美白関連の成分は刺激が強いものが多いので、敏感肌の人には不向きです。使われている成分がなるべくシンプルで必要最低限の構成になっているものを選びましょう。
2)敏感肌におすすめの保湿クリーム
敏感肌におすすめできる低刺激な保湿クリームを紹介します。
それぞれの商品の詳しい解説はリンク先の記事を読んでください。商品の特徴や向き不向き、使われている成分などにも説明を加えています。
サッポー エスカバー
・オーソドックスな設計なので万人におすすめできる
・油分は並み
【3,560円(税込)/50g/使用目安:約2ヶ月分/トライアル:有り】
普通の保湿クリームをそのまま低刺激仕様にしたような、正統派の敏感肌向け保湿クリームです。非常に低刺激なクリームでありながら保護力・保湿力・使用感のバランスが良いので、万人におすすめできます。敏感肌の人なら保湿&保護のケアはこれ一本でも十分でしょう。
もっと詳しく→「敏感肌向け保湿クリームの正統派!サッポーのエスカバー(敏感肌用クリーム)の評価」
ノブ Ⅱ モイスチュアクリーム
・原料の精製度の高さにもこだわった処方
・油分は並み
【5,400円(税込)/50g/約2ヶ月分/トライアル:有り】
低刺激化粧品ブランドNOV(ノブ)の保湿クリームです。基本的な方向性としては上で挙げたサッポーのクリームに似ていますね。ただ、こちらの方がシンプルかつ最低限の構成になっています。保湿力や保護力ならサッポーの方が上、安全性ならノブの方が若干上、といった印象です。とある口コミサイトで「お粥」と表現されていましたが、言い得て妙だと思います。
もっと詳しく→「ノブⅡ モイスチュアクリームの評価~「お粥」的なシンプル設計の敏感肌用クリーム」
花王 キュレル 潤浸保湿フェイスクリーム
・保湿力・保護力はそれほど高くないが、サラッとした使用感
・油分少なめ、シリコン多め
【2,484円(税込)/40g/使用目安:約1ヶ月半/トライアル:有り】
敏感肌用としてはもっとも有名な保湿クリームでしょう。ちょっと特殊な作りになっており、シリコン多め油分少なめといった内容です。疑似セラミドを肌に与えることに特化したクリームと言えます。シリコン独特のサラッとした使用感なので、油分の多いこってり系のクリームが苦手な人に向いています。
もっと詳しく→「花王キュレル 潤浸保湿フェイスクリームの評価~疑似セラミドに期待する敏感肌用クリーム」
小林製薬 ヒフミド エッセンスクリーム
・保湿力の高いリピジュアをベースに使用
・油分少なめ、ポリマー多め
【4,320円(税込)/22g/使用目安:約1ヶ月~1ヶ月半/トライアル:有り】
キュレルが「シリコン+疑似セラミド」であるのに対し、ヒフミドは「ポリマー+ヒト型セラミド」といった構成です。ヒト型セラミドを4%配合しており、セラミドの効果をしっかり実感できる商品になっています。リピジュアと呼ばれる高保湿ポリマーを使っているため、保湿力が高いのも特徴です。
3)超敏感肌の人におすすめの保湿クリーム
ここからは肌バリアがボロボロで超過敏な状態の肌向けの保湿クリームです。イメージとしてはワセリンとクリームの中間のような商品になってきます。
積極的に肌に潤いを与えるような効果はなく、完全に「肌の上に乗っかっている」タイプのクリームになるため、保湿クリームとしての完成度は低いものにならざるを得ません。
上で紹介した商品が使えるならそちらを使うことをおすすめします。あくまでもひどい肌荒れ時の緊急避難用として使いましょう。
ノブ Ⅱ モイスチュアバーム
【3,240円(税込)/30g/使用目安:使い方次第/トライアル:有り】
・「べたつかないワセリン」といった立ち位置
・特に乾燥が気になる部分へのポイント使いにも◎
ノブⅡのモイスチュアバームです。本来は上で挙げたノブⅡの保湿クリームの上から重ねて使うものですが、最低限の保護ケアとして単体で使うのにも適した商品です。簡単に言うと、スクワランとワセリンの混合物(このままではかなりべたつく)にシリコンを加えて使用感を調整したものです。「ワセリンのべたつきが苦手」という人に向いています。
アクセーヌ スキンプロテクター AD
【3,240円/15g/使用目安:使い方次第/トライアル:無し】
・界面活性剤フリー
・乾燥性敏感肌の人向き(脂漏性敏感肌には向かない)
真面目な敏感肌用化粧品を作っているアクセーヌの超低刺激ラインです。かなりワセリン寄りのクリームであり、使用感もそこまで変わりません。機能性成分も含まれているので、保湿クリームとしての性能はワセリンよりも優れています。オリザノールが配合されているため、敏感肌のタイプによって向き不向きが分かれる商品だと思います。
白色ワセリン
肌バリアが完全に壊れてしまっていて、もう何をつけても刺激を感じるという人は白色ワセリンを使いましょう。最低限のケアにしかなりませんが、もっとも安全性の高い保護剤であることは間違いありません。肌が回復してくれば機能性の高い保湿クリームも使えるようになります。
まとめ
以上、敏感肌の人におすすめできる低刺激な保湿クリームを紹介してきました。
保湿クリームのように塗り切りの化粧品は、肌に合う合わないがはっきり出ます。どれほど低刺激に作ってある保湿クリームでも、すべての人に確実に安全だと言い切ることはできません。敏感肌の人ならなおさらです。
まずはトライアルで試してみて、もし肌に合わなければ潔く諦めましょう。肌が刺激を感じているのに我慢して使いつづけるのは御法度です。
真面目に設計された低刺激クリームをいくつか試していけば、必ず肌に合うものが見つかるはずです。