クレンジング剤は敏感肌の人がもっとも刺激を感じやすいアイテムです。
- ピリピリ・チクチクするような刺激を感じた
- 肌に「赤み」や「痒み」が生じた
- かぶれて肌荒れを起こした
などのトラブルを経験したことのある方も多いでしょう。
オイル・クリーム・ミルク・ジェル・リキッドなどクレンジングにはたくさんの種類があります。
当然、商品のタイプによって肌への優しさも大きく変わってくるのですが、「たくさんありすぎていったいどれが肌に優しいのかわからない!」という方も少なくないと思います。
そこで今回は、どのクレンジングが敏感肌に向き、どのクレンジングが敏感肌に向かないのか、を各タイプごとに解説していきます。
敏感肌の人にとってクレンジングの選び方はとても重要です。肌に合っていないクレンジングを無理して使っていると、敏感肌はどんどん悪化してしまいます。
各タイプの特性をよく理解した上で、自分に合ったクレンジングを選び、気持ちよくメイク落としができるようになりましょう!
敏感肌に向かないクレンジング
まずは敏感肌の人に適さないクレンジングの方から確認していきます。
- クレンジングオイル
- クレンジングリキッド
- ホットクレンジング
以上のクレンジングは敏感肌の人にはおすすめできません。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
クレンジングオイル
クレンジングオイルは肌に負担の大きいクレンジングの筆頭です。
ベースがほぼオイル100%でできていて、その油分を洗い流せるようにするために大量の洗浄剤(界面活性剤)が配合されています。
皮膚科医の北原東一氏の以下の言葉がすべてを物語っていますね。
「数あるクレンジング剤の中でもオイルタイプは、トラブルが多い」
「患者を診ていてオイルクレンジングによるトラブルの多さを実感している皮膚科医は多いはず」
北原東一『誤解だらけのスキンケア』p60
同じく皮膚科医の吉木伸子氏の言葉も引用しておきます。
「油分を多く含むオイルタイプは肌への刺激が強い」
「最近はオイルタイプのクレンジングが主流ですが、これは洗浄力の強いものが多く、毎日使うと肌を傷めることがあります」
吉木伸子『スキンケア基本事典』p53
クレンジングオイルは楽にメイクを落とせるので人気が高いですが、よほど肌が丈夫な人でなければ使用を避けるべきです。敏感肌の人は間違っても使わないようにしましょう。
オイルタイプのクレンジングでも、ごく一部に、洗浄剤を使用していないタイプの商品もあり、そういったものは肌に優しいです。ただし、水で洗い流せないのでちょっと特殊な使い方の商品になります(例えば、アクセーヌのクレンジングオイルなど)。
クレンジングリキッド
リキッドタイプのクレンジングも敏感肌にはおすすめできません。
クレンジングリキッドは水ベースでサラっとしているので、なんとなく肌に負担が少なそうに思えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。
油分を含まないのでメイクを自然に浮かせる能力がなく、界面活性剤の力で無理やりメイクを溶かすという方式になります。さらに、メイクとの馴染みが悪い分だけ肌を擦りやすい点もマイナスです。
敏感肌の人にとってよりいっそう致命的なことは、リキッドクレンジングは肌に侵入しやすいということです。
肌が荒れていると水溶性の成分の透過性があがります。水っぽいものほど肌に侵入して刺激となり、肌が炎症反応を起こす危険性が高くなるのです。保湿クリームよりも化粧水の方が肌にしみやすいのと同じことですね。
ホットクレンジング
最近流行のホットクレンジングも敏感肌の人にはおすすめできません。
ホットクレンジングとは、クレンジングジェルの一種で、肌の上で馴染ませているうちに熱を持ち始めメイク落ちが良くなるというちょっと変わった商品です。
肌の上でクレンジング剤が化学反応を起こして発熱するわけですから、敏感肌の人には刺激になりやすいです。特に、赤みや痒みを誘発することが多いので、肌が炎症を起こしやすい敏感肌の人は使用を避けるべきです。
私自身も、友人から「肌に合わなかったから」と譲り受け、試しに使ってみたことがありますが、使用後にピリピリとした痒みが出て使えませんでした……。
敏感肌の人に適したクレンジング
敏感肌の人におすすめできるのは、
- クレンジングクリーム
- クレンジングミルク
- クレンジングジェル
あたりのクレンジングになります。
以下、一つずつ特徴を見ていきましょう。
クレンジングクリーム
敏感肌の人に第一におすすめしたいのがクリームタイプのクレンジングです。
クレンジングクリームは油分多めで感触がディープなため、なんとなく「肌に負担が大きそう…」という印象を持っている方もいるかもしれません。
しかし、実際には、
①肌に侵入しにくい
②界面活性剤の使用量が少ない
③メイク落ちが良い
という3拍子揃ったクレンジングです。
クリームタイプのクレンジングが肌に優しいのは、クリームに含まれる油分と水分のバランスが良く、界面活性剤の助けをあまり必要としないからです。
油分の少ないクレンジングの場合、メイクを溶かすために界面活性剤(洗浄剤)を多めに配合する必要があります。
それに対してクリームの場合は、クリーム自体にメイクが自然と溶け出してくるので、肌に負担をかけずにメイクを浮かせることができます。
また、オイルタイプと違って水分も適度に含んでいるため、クレンジング剤に含まれる油分を洗い流すための界面活性剤の量も少量で済みます。
もともと一昔前までは何の変哲もないコールドクリームでメイク落としをしていたように、クリームという基剤そのものがクレンジングに適しているのですね。
敏感肌の人でも刺激を感じずに使える可能性が高く、肌への負担も少ないので、クリームタイプは敏感肌に適したクレンジングであると言えます。
クレンジングミルク
ミルクレも比較的マイルドなものが多いので敏感肌の人にはおすすめできます。
ミルクタイプのクレンジングは基本的に「クリームタイプから油分を減らして、代わりに界面活性剤を増やしたもの」になります。
油分が少なめのタイプが多いので、オイル成分にトラブルが多い人に向いています。
一方で、メイク落ちは悪いので、ごく軽めのメイクしかしない人向けになります。
しっかりメイクの人がミルクレを使うと肌を擦りがちになり、かえって肌を刺激してしまうことに繋がります。
また、クリームタイプに比べると界面活性剤の量は増えるので、人によってはミルクレに刺激を感じる場合もあります。
特に、水っぽいのにメイク落ちが良いミルクレには注意が必要です。
そもそも、ミルクレが肌に優しいと言われるのは、クレンジングとしては脱脂力(=メイク落ち)があまり良くないためです。
「ミルクレなのにメイクがよく落ちる!」という商品は界面活性剤の配合量が多くなっており、マイルドさを求めてミルクレを選んでいる人にとっては、ちょっと本末転倒なところがあります。
メイク落ちを気にするなら、洗浄力の強いミルクレを探すよりも、マイルドなクリームタイプを選んでおいた方がよほど肌に優しいです。
クレンジングジェル
クレンジングジェルは、オイル成分が苦手な人に向いています。
クレンジングジェルは基本的にリキッドクレンジングを「ゲル化剤」で固めたものになります。
「ゲル化剤」というのは、液体に粘性をつけてジェル状にするための成分です。片栗粉やゼラチンのような物質だと思ってください。
ゲル化することによって肌に侵入しにくくなるため、リキッドクレンジングに比べると刺激を感じにくくなります。また、テクスチャー的にも適度な弾力があって肌を擦りにくい点もメリットです。
ただし、油分はあまり(もしくはまったく)含まないので、メイク落ちはそれほど良くありません。
また、界面活性剤の配合量も多くなりがちなので、敏感肌の人の中には刺激を感じる人も出てきます。
とはいえ、油分が少なめのクレンジングの中ではいちばん使い勝手が良いので、オイル成分が苦手な人にはジェルタイプがおすすめできます。
「油分」か「界面活性剤」か……自分が何に反応しやすいのかを理解することが大切
以上、タイプ別に特徴を見てきました。
基本的にクレンジング剤は、
- 「油分」が多くて、「界面活性剤」が少ない
:クリームクレンジング・こってりしたミルクレ - 「油分」が少なくて、「界面活性剤」が多い
:リキッド・ジェル・サラッとしたミルクレ
のどちらかになります。
メイクを溶かすためには「油分」か「界面活性剤」のどちらかが必要なので、こればかりは仕方のないことですね。
ちなみに、オイルクレンジングがもっともトラブルを起こしやすいのは、「油分」と「界面活性剤」がどちらも多いタイプのクレンジングだからです。
敏感肌の人は自分が「油分」と「界面活性剤」のどちらに反応しやすいのかを見極めることが重要になってきます。
割合で言えば、敏感肌の人が反応しやすいのは圧倒的に「界面活性剤」の方です。
クレンジングを使ってすぐに肌が赤みや痒みを帯びたり、ピリピリ・チクチクを感じるなら、界面活性剤に反応している可能性が高いです。
一方、油分が苦手な人は、クレンジングをしたときには刺激を感じないけれど、翌日以降にニキビができたりするような反応の仕方をすることが多いです。
……と言われても、「そんなの判断がつかないよ!」という方も多いと思います。
そこで、敏感肌の人は次章に述べるような方法でクレンジングを試してみることをおすすめします。
敏感肌の人はクリーム→ミルク・ジェルの順で試すのがおすすめ
敏感肌の人がクレンジングを選ぶときは、
①まずはクレンジングクリームを試してみる
②↑が肌に合わないようなら油分の少ないミルクやジェルを試してみる
という順番で試すのがおすすめです。
総合的に見たときに、敏感肌にもっとも適しているのはやはりクレンジングクリームです。
メイクもキレイに落とせますし、成分的にも肌に優しいものが多いので、クリームタイプが使えるならそれにこしたことはありません。
肌の潤いを奪いすぎることがないため、乾燥からくる敏感肌を改善する効果も望めます。
とはいえ残念ながら、すべての人にクレンジングクリームが合うわけではありません。
敏感肌の人の中には、オイル成分が特別苦手な人がいて、油分の多いものを使うとかえって肌が荒れてしまうという人もいます。
そういったオイル成分にトラブルが起きるような人は、油分の多いクリームタイプは避けて、油分の少ないミルクタイプやジェルタイプを使うようにしましょう。
ただ、「油分が少ない=界面活性剤の量が多くなる」というのも事実ですので、まず最初はクリームタイプを試してから、それが合わなかったときにミルクレやジェルを試すというのが賢い選択だと思います。
ミルクレやジェルを使う場合は、できるだけ界面活性剤の配合量の少ないマイルドなものを選ぶことが重要になります。
また、油分が少ないクレンジングはどうしてもメイク落ちが悪くなりますので、メイクが十分に落ちなかった場合は、使っているメイクをもっと落としやすいものに変えるなどの工夫も必要になってきます。
敏感肌の人におすすめのクレンジングクリーム
さて、ここからは上で述べてきたことを踏まえながら、具体的なおすすめ商品を挙げていきます。
タイプ別で見るとクレンジングクリームが肌に優しいと言っても、当然ながら商品によってかなりの振れ幅があります。
ここではクレンジングクリームの中でも、特に肌に優しいタイプの商品を紹介します。
サッポー クレンジングクリーム
・敏感肌~乾燥肌の人に最適
・リピーターが非常に多い一品
【2,800円(税込)/75g】
サッポー美肌塾で有名なサッポーのクレンジングクリームです。
定番ですが、敏感肌の人にはやはりいちばんおすすめできる商品です。
界面活性剤が洗浄剤として使われておらず、ピュアなクリームが持つ自然なクレンジング力だけでメイクを浮かせて落とします。
成分的にはモイスチャークリームに近いものなので、肌に残っても大丈夫なくらいです。
クレンジング後は多少の油膜感が残りますが、洗顔料で仕上げの洗顔をすれば、ヌルヌル感もなくつっぱりもせず、ちょうどいい洗い上がりになります。
とにかく肌に優しく、メイク落ちにも優れた商品なので、敏感肌の人におすすめです。
お値段はそれなりにしますが、公式を利用すれば初回は安く買える(初めて使う人限定)ので、まずは一度試してみるといいと思います。
ポンズ ふきとるコールドクリーム
・クレンジング後に拭き取りが必要
・コスパが良い
【オープン価格(1000円前後)/270g】
昔からある超ロングセラー商品です。
拭き取りタイプのクリームで、油分が肌に多く残る作りになっているため、クレンジング後にティッシュなどで軽く油分をオフする必要があります(その後は仕上げの洗顔を推奨)。
ちょっと手間がかかりますが、洗い流すタイプよりも界面活性剤の配合量が少なく済むので、肌にはとても優しいです。
この手のクレンジングクリームとしてはオーソドックスな作りで、取り立てて凄いところがあるような商品ではありませんが、安心して使いつづけることができる一品です。
大容量でコスパも良いので、化粧品代を浮かせたい人にもおすすめです。
→ 公式の商品ページ
→ Amazonの商品ページ
ノブ Ⅱ クレンジングクリーム
・シンプルな成分
・みずみずしいクリーム
【4,320円(税込)/110g】
真面目な敏感肌用化粧品を作っているNOV(ノブ)のクレンジングクリームです。
ノブの特徴は、配合する成分に非常に気を遣っている点です。
精製度の高い原料を使い、配合成分の数を抑えたシンプルな処方になっており、いわゆる“レス処方”の極地とも言える作りになっています。
ベースにミネラルオイルではなくスクワランを使っているところにも強いこだわりを感じますね(そしてそれをことさらアピールしないのもノブらしいところ)。
クレンジングクリームとしては標準的な使用感です。
みずみずしいクリームで、肌に負担なくメイクを落とすことができます。
敏感肌の人の中でも、肌質的に苦手な成分が多い方におすすめの商品です。
まとめ
以上、敏感肌の人におすすめのクレンジングについて見てきました。
クレンジング剤は化粧品の中でもっとも重要なアイテムです。
それこそ、クレンジングを変えるだけで肌質が一変するほどの影響力があります。
敏感肌の人はただでさえ普通の人よりもダメージを受けやすい肌状態にあります。
手軽さやなんとなくのイメージで選ぶのではなく、正しい知識で本当に肌に優しいクレンジングを選ぶようにしてください。
クレンジングで肌が受けるダメージを少しでも減らすことができれば、その分だけ肌は必ず健康になっていきます。
「これだ!」という自分にぴったりのクレンジングを見つけて、毎日気持ち良くクレンジングができるようになりましょう。