現在では女性の約3人に1人が敏感肌の症状に悩まされていると言われていますが、敏感肌の原因は人によってそれぞれ異なります。
小さい頃から肌が弱い人もいれば、もともと平気だったのにある日突然そうなってしまう人もいます。
原因によって正しい対策の仕方も変わってきますので、まずは自分がどうして敏感肌になってしまったのかを把握することが大切です。
そこでこの記事では、敏感肌のよくある5つの原因を以下のように取り上げ、一つずつ説明していきます。
敏感肌の人は自分がどれに当てはまりそうか考えながら読んでみてくださいね!
原因1:体質的なもの
・全身の肌が荒れやすい
・子供の頃にアトピー持ちだった
もともと肌の強い弱いには個人差があります。
生まれつき丈夫な肌バリアを作るのが苦手な人や、刺激に対する反応性が高すぎる人がいるのです。
その極端な例が、「アトピー肌」の人です。アトピー肌は「体質的な超敏感肌」とでも言うべきもので、肌のバリア成分であるセラミドの産生量が少なかったり、免疫反応を引き起こすIgE抗体の数が多かったりするのが特徴です。
また、私自身がまさにそうなのですが、子供の頃にアトピー持ちだった人は大人になってアトピーが治ってからも、普通の人よりも肌のバリア機能が弱く、敏感肌の傾向が残ることが多いようです。
体質的な原因による場合、顔の肌だけでなく全身の肌が一様に弱くなります。
普通の人に比べて、細かい手作業や水仕事で手荒れが起きやすかったり、服と擦れるだけで体の肌が赤くなったり……。
私自身もかつてアトピー肌で、小さい頃は皮膚科のお世話になりっぱなしでした。
現在ではアトピーの症状は出ませんが、全身の肌がとても弱く、ペットボトルの蓋を開けただけで手のひらが真っ赤になるほどです。
体質的な原因による敏感肌の場合、肌質を根本的に改善することは難しいですが、適切なスキンケアによって良好な状態を維持することは十分に可能です。
肌に優しいスキンケアをすることはもちろんですが、もともと肌のバリア機能や水分保持機能が人よりも劣っているため、基礎化粧品でマイナス分を積極的に補ってあげることも重要になってきます。
特に肌のバリア機能を補ってくれるセラミドを配合した化粧品がおすすめです。
アトピー患者の肌にセラミドを塗布したところ、健常者レベルにまでバリア機能が回復したという報告もある(『スキンケア最前線』p116~118に掲載)くらいですので、体質的な敏感肌の改善には大きな効果が期待ができます。
原因2:不適切なスキンケアによるもの
敏感肌の人でもっとも割合が多いのは、不適切なスキンケアが原因になっているケースです。
特に、全身の肌は何ともないのに顔の肌だけが荒れているという場合は、体質やホルモンバランスなどの内因性のものではなく、「顔にだけしている行為=スキンケア」が原因であると見てまず間違いありません。
敏感肌の原因になりやすいのは以下のような行為です。
- 洗いすぎの洗顔
- オイルタイプなど強すぎるクレンジング剤の使用
- 酵素洗顔・スクラブ洗顔・ピーリングなどの角質ケア
- 肌を擦るなどの物理的な刺激
スキンケアが原因の敏感肌を改善するためには、何よりも洗顔料とクレンジング剤の選び方が重要になります。
特にクレンジング剤はそれ一つで肌質を変えてしまうほどの影響力があります。
もともとクレンジング剤は肌に大きな負担のかかるアイテムです。
その上、商品の種類によって肌への優しさに大きな差があり、肌の弱い人が洗浄力の強いものを使ったりすると、肌バリアはすぐに痛んでボロボロになってしまいます。
クレンジング剤を肌に優しいものに変えれば、それだけ肌バリアは確実に健康になります。使っているクレンジング剤を変えるだけで敏感肌がころっと治ってしまう人もいるくらいです。
なので、「スキンケアが原因かも?」と心当たりのある人は、まずはクレンジング剤から見直してみることをおすすめします。
安易にメイク落ちの良さなどで選ばずに、肌に優しいタイプの商品を使うようにしましょう。
敏感肌に適したクレンジングの選び方については「敏感肌の人におすすめのクレンジングはどのタイプ?刺激の少ないクレンジングの選び方」を参考にしてみてください。
原因3:乾燥によるもの
・冷暖房空間にいる時間が長い
・お風呂上がりや洗顔後に肌がつっぱってヒリヒリする
「乾燥性敏感肌」という言葉があるように、肌が乾燥すると誰であっても敏感肌の傾向が出てきます。
肌のバリアである角質層は乾燥すると縮んで硬化し、隙間の多いスカスカの状態になります。すると、化粧品・ダニ・花粉・ホコリなどの異物が容易に侵入するようになるので、肌はあらゆる刺激に対して炎症反応を起こしやすくなります。
冬になると肌がカサカサになって痒みが生じる、肌がひどく乾燥しているときに化粧水を使ったら肌にしみた……などの経験は誰にでもあるでしょう。
乾燥による敏感肌は保湿のケアでかなりの程度まで予防&改善することができます。
化粧水やクリームなどでしっかり保湿することはもちろん、加湿器などで乾燥した空気そのものを撃退するのも非常に有効です。
ただし、乾燥した肌は化粧品の成分が侵入しやすい=かぶれを起こしやすい状態にあるので、使用する化粧品は「低刺激」かつ「肌に侵入しにくい設計」のものを選ぶことが大切です。
原因4:ホルモンバランスの変化
・歳を取ってから急に敏感肌になった
ホルモンバランスが変化すると、それに応じて肌質も変化します。
ホルモンバランスが大きく変化するパターンには以下の2つがあります。
- 1.生理周期による変化
- 女性の多くは生理周期に応じて肌の好不調を繰り返します。
特に生理前になると肌は刺激に対して敏感になる傾向があります。また、皮脂の分泌量も増えるのでニキビなども普段よりできやすくなります。 - 2.加齢による変化
- 生理周期による変化と同じように、加齢によるホルモンバランスの変化も敏感肌の一因になります。
特に、閉経前後はホルモンバランスが大きく変化していくため、その時期に急に肌質が変わって敏感肌になる人も多いです。
どちらの場合でも、それまでのスキンケアが突然肌に合わなくなってしまうという点が重要です。
昨日まで平気だった化粧品に突然刺激を感じるようになったり、いつもしているのと同じケアをしたのに肌が荒れてしまったり……。
肌のコンディションはめまぐるしく変化するものです。
「いつものだから大丈夫」と高をくくらずに、肌のゆらぎを感じたときは低刺激なスキンケアに素早く切り替えることが大切です。
また、加齢による変化の場合、皮膚が薄くなる・セラミドの産生量が減る・皮脂の分泌量が減るなど、肌のバリア機能が全体的に衰えてくるので、足りないものを化粧品で補うことも重要になります。
原因5:脂漏性皮膚炎によるもの
・赤みや痒みが見られる
・鱗屑(細かい皮剥け)が伴う
敏感肌の原因としては特殊なケースですが、けっして数は少なくないのが「脂漏性皮膚炎」によるものです。
通常、顔の中で敏感になりやすいのは、皮脂の分泌量が少ないUゾーンや、目元や口の周りなど肌が薄い部位です。
しかし、脂漏性皮膚炎の場合は、逆に皮脂の分泌量の多いTゾーンが肌荒れを起こします。
「脂漏性皮膚炎」は皮脂の分泌が活発な部位にのみ見られる皮膚炎です。
皮脂を餌にするマラセチアという真菌が増えることによって発症すると言われていますが、はっきりとしたメカニズムはわかっていない部分も多いです。
炎症反応によって肌バリアが壊されるため、結果的に刺激に対して過敏な状態になります。
「皮膚炎」というと病的な症状を思い浮かべるかもしれませんが、小鼻の脇がちょっと赤くなっているとか、眉の辺りが痒みを伴って皮剥けしているとか、軽度の出方をしているケースはごく一般的に見られます。
日本人の4~5割ほどが脂漏性皮膚炎の素因を持っていると言われているほどです。
脂漏性皮膚炎に関して解説すると長くなってしまうので、詳しい説明はまた別の記事にまとめるつもりです。
とりあえずここではTゾーンだけが敏感になっている場合は、脂漏性皮膚炎が原因の可能性があるということだけを指摘しておきます。
まとめ
以上、敏感肌になってしまう主な原因を見てきました。
それぞれの原因と対処法を簡単にまとめると以下のようになります。
・体質による敏感肌
→肌に優しいスキンケアが大前提。普通の人よりも肌機能が低いので、基礎化粧品でマイナス分を上手に補うこと。特に肌のバリア成分を補えるセラミド化粧品が効果的。
・不適切なスキンケアによる敏感肌
→まず真っ先にクレンジング剤と洗顔料を肌に優しいものに変えてみる。たいていはこの2つが大きな原因になっているので、これらを変えてみるだけでも大分違う。ダメージを減らせば肌は自然と回復してくる。
・乾燥による敏感肌
→保湿のケアでかなり改善する。化粧水やクリームなどでしっかり保湿すること。加湿器などで肌が乾燥しにくい環境を作ることも大切になる。
・ホルモンバランスの変化による敏感肌
→生理周期に合わせて肌が敏感になる場合は、低刺激なスキンケアに素早く切り替えることが大切。加齢によって肌の過敏さが増してきた場合は、年齢肌に不足するものを化粧品で補いながら、低刺激なスキンケアに切り替えていく。
ここでは一つずつ個別に取り上げましたが、実際にはいくつかの原因が重なって肌状態を悪化させているケースも多いです。
いずれの場合であっても、肌に優しいスキンケア&化粧品選びをすることが大前提になります。
肌が弱っているときには、それ相応のスキンケアが必要です。
今一度自分がやっているスキンケアや化粧品を見直して、肌に余計な負担をかけていないかどうかをチェックしてみてください。