「オリーブオイル石鹸が肌に優しいと聞いたものの、あまり一般的な石鹸ではないし、使うのがちょっと不安……」
こういった方は多いのではないでしょうか?
実際、オリーブオイル石鹸は肌質によって向き不向きがハッキリ分かれる石鹸です。
オリーブオイル石鹸を使うと肌が荒れるという人も結構いるので、少なくとも万人におすすめできるタイプの石鹸ではありません。
この記事では「オリーブオイル石鹸は、どんな肌に向き、どんな肌に向かないのか?」をざっくり説明していきます。
ちょっと長くなるので先に要点をまとめておくと、
- 皮脂の分泌が少ない人には向いている
- 皮脂は出ているのに乾燥するというインナードライの人には向かない
- ニキビ肌の人にはまったく向かない
- 敏感肌の人は選び方に気をつける
以上になります。
それでは以下、順を追って詳しく解説していきますね!
オリーブオイル石鹸の特徴
石鹸は原料となる脂肪酸の種類によってその特徴が決まります。
オリーブオイルは「オレイン酸」が主成分です。オリーブオイルを構成する脂肪酸のうち約80%をオレイン酸が占めます。
なので基本的には「オリーブオイル石鹸=オレイン酸石鹸」と考えて構いません。
では、オレイン酸で作った石鹸にはどのような特徴があるのでしょう?
スキンケア的に重要な部分だけを取り上げると、だいたい以下のようになります。
①皮脂を落としにくく、細胞間脂質を落としやすい
石鹸は脂肪酸の種類によって「選択洗浄性=何を落としやすく何を落としにくいのか」が変わります。オレイン酸の場合は皮脂を落とすのが苦手で、細胞間脂質を落とすのが得意です。ちなみに一般的な石鹸はこれと真逆になります。つまり、「皮脂を落としやすく、細胞間脂質を落としにくい」石鹸ですね。
②オレイン酸が洗顔後の肌にちょっと残る
オリーブオイル石鹸で顔を洗うと、洗顔後の肌にオレイン酸が多少残ります。オレイン酸は皮脂の40%を占める成分なので、皮脂の代わりになります。肌を柔軟にする効果もあるので、洗顔後の肌がしっとり柔らかくなります。
③皮膚刺激が少ない
脂肪酸のなかでもオレイン酸は分子構造が大きくて肌に侵入しにくいため、皮膚刺激性の少ない石鹸になります。
オリーブオイル石鹸のメリットとデメリット
上で挙げた特徴をメリットとデメリットという視点からまとめると、
<メリット>
- 皮脂を取り過ぎないので肌が乾燥しにくい
- 肌に残ったオレイン酸でお肌しっとり
- 皮膚刺激が少ない
<デメリット>
- 皮脂が多く残るので油分トラブルを起こしやすい
- 肌に残ったオレイン酸が油分トラブルを悪化させる危険性
- 細胞間脂質を落としやすいので洗いすぎるとマズい
といった感じになるでしょう。
メリットとデメリットが完全に表裏一体になっているのがわかると思います。オリーブオイル石鹸が合う人と合わない人に真っ二つに分かれるのも、ここに理由があります。
肌質によって、オリーブオイル石鹸(=オレイン酸石鹸)が持つ特徴が吉と出るか凶と出るかが180度変わってくるのですね。
このような両極端なところは口コミにもしっかり反映されていて、オリーブオイル石鹸の口コミを調べるとたいてい「最高!」という人と「肌が荒れた!」という人とで評価が分かれています。
なので、オリーブオイル石鹸を使うのであれば、しっかり自分の肌質と照らし合わせてからGOサインを出さなければなりません。
では、どのような肌に合い、どのような肌に合わないのか?
以下、もう少し具体的に見ていきましょう。
オリーブオイル石鹸は「皮脂が少ない」人向け
基本的にオリーブオイル石鹸は、
「皮脂が不足している人のための石鹸」
と考えておけば間違いありません。
一般的な石鹸は皮脂を落とすのが得意なので、皮脂の分泌量が少ない人が使うと、皮脂が足りなくなって肌が乾燥しがちです。
その点、オリーブオイル石鹸は、
①皮脂を取り過ぎず多めに肌に残す
②さらに石鹸に含まれている分のオレイン酸(皮脂の主成分)も追加される
という風に2重に“皮脂モリモリ”の石鹸です。
皮脂の奪いすぎを防ぎつつ、同時に補うこともできるので、皮脂不足で肌がカサカサに乾燥している人にはもってこいの石鹸と言えます。
ただし!!
これはあくまでも“皮脂の分泌が少ないために”乾燥肌になっている人の場合です。
同じ乾燥肌でも、「皮脂はちゃんと出ているのに乾燥する」というインナードライ(混合肌)の人は、オリーブオイル石鹸との相性は「微妙」になります。
インナードライの場合、皮脂が不足しているわけではなく、セラミドなどの細胞間脂質が不足しています。なので、皮脂を大切にするオリーブオイル石鹸を使っても、肌の乾燥は改善されません。
それどころか、皮脂はちゃんと出ているわけですから、肌の上で皮脂成分が過剰になり、ニキビなどの皮脂トラブルにつながる危険性もあります。
「オリーブオイル石鹸は乾燥肌向け」とよく言われますが、正しくは「皮脂の分泌が少ない人向け」と捉えるべきでしょう。
ニキビ肌にオリーブオイル石鹸は合わない
ニキビ肌の人にオリーブオイル石鹸は基本NGです。
周知の通り、ニキビの原因菌である「アクネ菌」はオレイン酸が大好物です。
ニキビ肌の人には皮脂の分泌が盛んな人が多いので、皮脂が過剰に残ってしまう上に、石鹸に含まれるオレイン酸もそこに追加されることになり、アクネ菌にとってはまさに「食べ放題」の状態になります。
実際、有名なオリーブオイル石鹸の口コミを見ても、「ニキビが大量発生した!」という人が割とたくさんいるのがわかります。
また、Tゾーンなどの脂漏部位が荒れて赤みや痒みが出ている人も、オリーブオイル石鹸は避けるべきです。
皮脂の分泌が盛んな部位が荒れるのは、酸化した皮脂による刺激だったり、皮脂を食べる常在菌が出す代謝物による刺激だったり、とにかく過剰な皮脂が引き金になっているケースが多いです。
この場合もニキビ同様、皮脂を残しすぎたり、オレイン酸が増えたりすると、症状が悪化する危険性があります。
皮脂に関係する肌トラブルが起きている人は、オリーブオイル石鹸ではなく、皮脂を落とすのが得意なタイプの石鹸を使ったほうが改善に繋がります。
敏感肌の人はオリーブオイル石鹸の選び方に注意する
すでに述べたように、オリーブオイルの主成分であるオレイン酸は皮膚刺激の少ない石鹸になります。この点を買われて、敏感肌の人にオリーブオイル石鹸が勧められているシーンをよく見かけます。
たしかにオレイン酸の石鹸は洗顔時の肌への刺激が少ないことは事実です。しかし、かといってすべてのオリーブオイル石鹸が敏感肌の人に適しているわけではありません。
というのも、オリーブオイル石鹸には以下のような問題がつきまとうからです。
①天然のオリーブオイルをそのまま原料にすると不純物が多くなる
②肌に残ったオレイン酸が酸化して肌に刺激を与えることもある
オリーブオイル石鹸はどちらかと言うと自然派・天然派の人が好む傾向があるため、天然のオリーブオイルをそのまま原料にしている商品が多いです。
しかし、天然の油脂にはたくさんの夾雑物が含まれます。そして、それが石鹸にも多少残ります(オリーブオイル石鹸の茶色は不純物の色です)。
肌が丈夫な人であれば別にどうってことありません。ですが、敏感肌の人はわずかな刺激にも過敏に反応してしまい、赤みや痒みなどを生じてしまう可能性があります。
もう一つ、オレイン酸は「不飽和脂肪酸」なので酸化しやすい性質を持っています。
油分が肌の上で酸化すると「過酸化脂質」と呼ばれる刺激物に変わるため、酸化しやすいオレイン酸が肌の上に多く存在するのは、敏感肌の人にとってあまり好ましいことではありません。
実際、敏感肌用の洗顔石鹸の中には、原料の油脂からわざわざオレイン酸を取り除いているものもあります。例えば、アクセーヌのフェイシャルソープADの紹介文には「オレイン酸・ラウリン酸(肌に刺激となる脂肪酸)をカット」と書いてありますね。
洗浄成分としてのオレイン酸石鹸は皮膚刺激が少なくても、オリーブオイルに含まれる不純物が刺激になったり、肌に残ったオレイン酸が酸化して刺激になったりすることは十分あり得るということです。
もし敏感肌の人がオレイン酸石鹸を使おうと思うのであれば、オリーブオイルをそのまま原料にしている石鹸ではなく、精製されたオレイン酸を原料にしている石鹸を選んだほうが安全です。
例えば、ノブのソープDあたりはオレイン酸が主成分になっています。オリーブオイル石鹸に比べるとオレイン酸の配合比率は少なめですが、精製度の高いオレイン酸を原料にしているので、肌荒れを起こす可能性は格段に低くなります。
まとめ
以上、オリーブオイル石鹸の特徴や向き不向きについて見てきました!
一言でまとめてしまうと、
皮脂が多い人 → 向かない
ということになります。
個人的には、オリーブオイル石鹸はちょっとおすすめしにくい石鹸だと思っています。多種多様な肌質の人が目にするWEB上ではなおさらです。
合う人にはばっちり合うんですけどね。合わない人にはとことん合わないので、一か八かな感じになるのがどうしても否めません。
皮脂の分泌が普通~多めの人なら、パーム油や牛脂などを原料にした石鹸の方が適しています。「皮脂を落としやすく、細胞間脂質を落としにくい」タイプの石鹸ですね。
ちなみに管理人(乾燥肌~敏感肌で、皮脂の分泌は普通程度)が使っているのはこちらの石鹸です↓
サッポーのピュアマイルドEXソープ
パーム油とパーム核油が原料のオーソドックスな洗顔石鹸です。皮脂を適度に落としつつ、肌もつっぱらないのでおすすめですよ。刺激も少ないです。