「オリーブオイルで毛穴をクルクルすると鼻の黒ずみが落ちる」という口コミ系の毛穴ケアがあります。
昔からある美容法ですが、テレビ番組で紹介されて一気に知名度が高まったようです。
しかし、オリーブオイルを使う方法は、毛穴の開き・黒ずみ・角栓などが悪化する危険性があるのでおすすめできません。
この記事では、なぜオリーブオイルはおすすめできないのか?をわかりやすく説明していきます。
もっと安全に行うことができる別の方法も紹介していますので、オリーブオイルに手を出す前にぜひご一読ください。
オリーブオイルは扱いの難しい油脂成分である
オリーブオイルと言うとなんとなくオシャレで美容に良さそうなイメージがあるかもしれませんが、実際には非常に扱いの難しいオイルです。
生半可な知識で肌に塗っていいような代物ではありません。
オリーブオイルの「オレイン酸」には問題が多い
オリーブオイルは成分の約70~80%が「オレイン酸」という脂肪酸から構成されています。
この「オレイン酸」がなかなかの曲者なのです。
例えば、化粧品開発者である角谷貴斗氏は以下のように述べています。
オリーブ油はオレイン酸リッチです。しかし、肌にオレイン酸を塗ることは、いいことではありません。
角谷貴斗『化粧品中身の真相』p147(強調は原文)
はっきりと「いいことではない」と言われています。
オレイン酸は「不飽和脂肪酸」の一種で、酸化しやすい、菌に分解されやすい、肌荒れを起こしやすい、などの欠点があります。ニキビの原因としても有名ですね。
別に「とんでもなく肌に悪い!」というわけではありません。もともと人間の皮脂に含まれている成分でもあります。
保水力もありますし、肌を柔軟にする作用もあるので、化粧品にほんの少し混ぜておくと良い働きをしてくれます。
しかし、化粧品に使われる場合でも、メインの油脂として使われることはまずありません。肌荒れを起こす人が続出することは目に見えているからです。
まして素人がオリーブオイルをそのまま肌につけるというのは、結構な冒険になります。
十分な知識があるならまだわかりますが、あまり詳しくない人がスキンケアに応用するのは絶対におすすめできません。
以上のように、オリーブオイルは普通の人でも肌に塗るのが躊躇われるような成分なのですが、中でも特に毛穴の開き・黒ずみ・角栓などとの相性が最悪なのです…。
オリーブオイルは毛穴の開き・黒ずみ・角栓を悪化させる
オリーブオイルの主成分である「オレイン酸」は、毛穴の開き・黒ずみ・角栓などを引き起こす原因の一つです。
そのため、オリーブオイルで鼻の黒ずみを落とそうとすると、毛穴を悪化させてしまう危険性が高いです。
資生堂の研究報告から
オリーブオイルと毛穴の関係については、資生堂さんのレポートが参考になります。
↓は資生堂による研究報告です。
資生堂、毛穴の皮膚特性を科学的に解明~不飽和遊離脂肪酸が「毛穴の目立ち」に関与していることを発見~(pdf形式です)
簡単に要点をまとめると、以下のような内容になっています。
- 毛穴が目立つ人では毛孔部で「不全角化」が起きている
- 毛穴が目立つ人は皮脂量が多く、特に皮脂中の「不飽和遊離脂肪酸」の比率が高い
- 「不飽和遊離脂肪酸」の代表格である「オレイン酸」を顔の肌に塗布したところ「不全角化」が起きることを確認した
- 以上のことから、毛穴の目立ちは「オレイン酸」などの「不飽和遊離脂肪酸」の増加が主な原因と考えられる
そして、オリーブオイルの主成分は「オレイン酸」であると…。
要するに、上の報告は「オリーブオイルを塗ると毛穴が開く」と言っているも同然の内容なのです。
毛穴の開きが悪化する危険性がある
マッサージをした後は、オリーブオイルの成分が必ず毛穴に残ります。
オイルは肌への残留性が高いですし、もし完璧に洗い流そうとすると洗いすぎになってそれはそれで毛穴を傷めます。
肌に残ったオレイン酸は常在菌によって分解されて、上の報告に出ていた「不飽和遊離脂肪酸」という刺激物質に変わります。
これが毛穴開口部の肌を刺激して「不全角化」(肌細胞が正常に角化しないこと)を引き起こし、毛穴をすり鉢状に凹ませてしまうのですね。
鼻の黒ずみや角栓も悪化する危険性がある
オリーブオイルで悪化するのは「毛穴の開き」だけではありません。
例えば、日本化粧品技術者会のホームページの「毛穴」の項目には次のような記述があります。
皮脂成分のトリグリセリドから産生された遊離脂肪酸は毛漏斗部を刺激して角化亢進を引き起こす.毛穴が目立つ人では,毛漏斗部の不全角化と不飽和脂肪酸の産生が亢進している.角化が亢進し,そこに角化物や皮脂がたまると黒褐色の点がみられる.これがいわゆる毛穴の黒ずみである.
オレイン酸などの「不飽和脂肪酸」が毛穴の不全角化を招くというところまでは資生堂の報告と同じですが、もう一歩進んで「不全角化が起きると角栓や黒ずみができやすくなるよ」と書いてありますね。
オレイン酸によって毛穴が刺激されると、ダメージを受けた毛穴表面の細胞がハイピッチで入れ替わります。そのようなオーバーワークのせいでまともな細胞が作れなくなり、毛穴の開口部が凹んでしまう、というのがここまでお話です。
しかし、それだけでは済みません。ハイピッチで細胞が入れ替わるということは、ゴミがたくさん出るということでもあります。
このゴミが毛穴に詰まったものが「角栓」であり、ゴミにこびりついた皮脂が酸化したものが「黒ずみ」です。
たまに「角栓=あぶら」と認識している人もいますが、実際には、角栓の大部分は出来の悪い肌細胞でできています。上の引用で「角化物」と呼ばれていたものです。
このような事情から、鼻の黒ずみを落とすためにオリーブオイルでマッサージしていたはずが、よりいっそう黒ずみや角栓をできやすくしてしまう……という本末転倒な結果が生まれてきます。
肌質によってはニキビができる危険性も
ついでに付け加えておくと、オレイン酸はニキビの原因菌である「アクネ菌」の大好物でもあります。
そのため、ニキビができやすい肌質の人がオリーブオイルで毛穴マッサージをすると、ニキビが大量発生する危険性があります。
以上のように、オリーブオイルは毛穴関連のトラブル全般と非常に相性の悪い成分なのですね。
鼻の毛穴の黒ずみをオリーブオイルで落とすのはおすすめできない
以上、「オリーブオイルで鼻の黒ずみを落とす」という方法がおすすめできない理由を見てきました。
オリーブオイルで毛穴ケアをすると、毛穴の黒ずみや開きの原因と言われているものをわざわざ毛穴に塗りつけることになってしまうのです。
毛穴の開き・黒ずみ・角栓などのトラブルが起きる人というのは、皮脂の分泌が活発になっているケースがほとんどです。つまり、もともとオレイン酸などの不飽和脂肪酸が肌の上に多い状態にあります。
そこでさらにオリーブオイルを塗ってオレイン酸を追加してしまうのは、やはりおすすめしかねます。
ネット上ではよく鼻の黒ずみ解消法として勧められているケア方法ですが、リスクが大きすぎるので、できるだけやらないようにしておきましょう。
鼻の黒ずみにはクリームを使う方法がおすすめ
管理人的には、オリーブオイルではなく、クリームを使った方法のほうをおすすめしたいです。
オイルを使う方法に比べると黒ずみを落とす効果は少し穏やかになりますが、その代わり、オリーブオイルにあったデメリットをすべてクリアすることができます。
クリームでもオリーブオイルと同様の効果が得られる
実は、オリーブオイルの代わりにクリームで毛穴をクルクルしても同じような効果が得られます。
オリーブオイルでマッサージすると鼻の黒ずみが落ちるのは、「油は油で溶かす」という原理によるものです。
黒ずみなどの毛穴汚れは皮脂が酸化して変色したものであり、「油」の一種です。オリーブオイルも同じく「油」なので、黒ずみを溶かすことができるのです。
一方、クリームは「油」と「水」を混ぜ合わせたものです。
油分を多めに含んでいるので、オリーブオイルと同じように、黒ずみや毛穴の汚れを浮かせる効果があります。
それに加えて、水分もそれなりに含んでいるので、毛穴をクルクルした後に洗い流しやすいというメリットもあります。オリーブオイルだとギトギトになりますからね。
クリームを使えば毛穴の開きや黒ずみが悪化しない
クリームを使った場合には、オリーブオイルのように毛穴の開きや黒ずみを悪化させる危険性がありません。
先の報告で問題になっていた「不飽和脂肪酸」は、基本的に植物性オイルに特有の問題です。
植物性オイルは「トリグリセライド」という成分でできており、酸化しやすかったり、常在菌などによって分解されやすかったりする欠点を持っています。
一方、クリームには基本的に化学合成されたオイルがメインで使われます。ミネラルオイルをはじめとする各種の合成オイルです。
合成されたオイルは酸化や分解などに対する耐性が高く、菌にとっては餌になりづらい油です。要するに、肌の上で変質しにくい安定性の高いオイルなのですね。
毛穴の開きや黒ずみを悪化させる心配もありませんし、ニキビにも悪影響がありません。
安全第一でクリームを使いましょう
クリームは最初から肌につけることを前提に設計され、厳しく品質を管理されています。
オリーブオイルに比べると肌につけたときの安全性が段違いに高いので、管理人としてはクリームの方を強くおすすめしたいです。
オリーブオイルに比べると「油」の比率は少なくなるので、黒ずみを溶かす効果は少し弱くなってしまいますが、オリーブオイルを使って毛穴状態を悪化させては元も子もありません。
クリームを使えば、毛穴を悪化させることなく汚れを効率的に落とすことができます。簡単にできておすすめの方法なので、ぜひ一度試してみてください。
具体的なやり方については以下の記事にまとめてあります。