毛穴の黒ずみは乾燥と皮脂のコラボレーション作品
毛穴の黒ずみは乾燥と皮脂が組み合わさってできるものです。ですが、乾燥の方がより本質的な原因です。
毛穴の黒ずみはどちらにできやすい?
結論から言ってしまえば、“どちらにもできやすい”です。
ただ、乾燥の方がより本質的な原因ではあります。
皮脂の分泌量が毛穴の黒ずみの“できやすさ”を左右するだけなのに対し、乾燥は黒ずみができるかどうかを決定づけます。
このあたりの事情はニキビと同じですね。
どんなに皮脂の分泌が過剰だったとしても、肌が100%健康な状態でまったく乾燥していなければ毛穴の黒ずみはできません。単に、肌の上が脂でギトギトになるだけです。
逆に、皮脂の分泌は少なめでも肌が乾燥している場合(かなり珍しいケースですが)、毛穴の黒ずみがちゃんとできます。
もちろんもっとも毛穴の黒ずみができやすいのは、肌が乾燥していて皮脂の分泌も過剰になっているタイプです。黒ずみができている人のほとんどはこのタイプだと考えて間違いありません。
乾燥が黒ずみができるかどうかを決定づける
毛穴の黒ずみの本質的な原因は乾燥の方です。
肌は乾燥すると硬くなります。毛穴は肌でできたポケットですから、当然毛穴もいっしょに硬化して柔軟性を失います。
毛穴が硬くなると皮脂や角質をスムーズに排出できなくなり、毛穴の内部に残ってしまいます。これが毛穴汚れや角栓ですね。
毛穴汚れも角栓の材料も、毛穴という凹みに外から入ってくるわけではなく、内から外に出て行くべきものがうまく出て行けなくなったものなのです。
こうして毛穴に詰まった皮脂や角栓が酸化したものが黒ずみですから、毛穴の黒ずみの原因は乾燥であると言っても過言ではないくらいです。
逆に、毛穴(を形作っている肌)が水分をたっぷり含んで柔らかければ、仮に皮脂の分泌が過剰になったとしてもきちんと肌の上まで押し出されます。
肌の上は当然脂ぎりますが、毛穴の内部に溜まったりはしないのです。
皮脂の分泌量は黒ずみのできやすさを左右する
皮脂の分泌量は毛穴の黒ずみのできやすさを左右します。
皮脂の分泌量が多ければ、それだけ毛穴が押し出さなくてはならなくなる荷物が増えるわけですから、毛穴に停滞しやすくなります。
乾燥の状態が軽めでも皮脂の分泌が過剰であれば、どうしても毛穴に残ってしまって黒ずみに発展しやすくなるのです。
とはいえ、皮脂がまったく分泌されない毛穴はありません。
たとえ皮脂の分泌量が少なめだったとしても、肌がひどく乾燥して毛穴が柔軟性を失えばやはり毛穴の黒ずみはできてしまいます。
乾燥していない肌はあっても、皮脂の分泌されない毛穴はないのです。
あくまでも乾燥の方が毛穴の黒ずみの決定因であって、皮脂の過剰分泌は黒ずみのできやすさを高めるだけにすぎません。
乾燥肌か脂性肌かを気にする必要はない
そもそも肌質はそこまで気にするようなものではありません。
生まれ持った肌質ではない
乾燥肌/脂性肌という区分は誰にでもわかりやすいためか非常によく使われます。
しかし、それらはまず生まれ持った肌質ではありません。
サッポー美肌塾などでも言われている通り、「トラブル化するような極端な肌質は作られた肌質」なのです。
同じ人の肌でもスキンケア次第でまったく別の肌質になります。
もちろん生まれ持った体質がまったく関係しないわけではありませんが、それは人より少しだけ皮脂の分泌が多かったり少なかったりという小さな振れ幅でしかありません。
「鼻が脂でギトギトになる」とか「頬が乾燥してガサガサになる」などといったトラブルが出るなら、それはスキンケアによって作られた肌質なのです。
乾燥肌も脂性肌も敏感肌も原因は“肌荒れ”
実は、乾燥肌も脂性肌も原因は同じものです。敏感肌も同じです。
結局、それらの原因になっているのは一言で言えば“肌荒れ”です。もう一つ原因をさかのぼれば“洗いすぎ”ですね。
過度の洗顔やクレンジングを行うと、肌の上の皮脂が根こそぎ奪われるのはもちろん、細胞間脂質(肌が持つ保湿成分)や角質も水に流れていきます。
そうして肌の表面にある角質層がボロボロになった状態が肌荒れです。
肌が荒れると保湿成分が不足して乾燥します。そして肌が乾燥すればそれをカバーするために皮脂の分泌が盛んになります。
また、角質層は皮膚を刺激から守るバリア層ですから、それがボロボロになれば当然あらゆる刺激に弱くなります。これが敏感肌ですね。
結局、乾燥肌も脂性肌も敏感肌もすべて同じメカニズムで生まれてきます。すべて“肌荒れ”の落とし子なのです。
ほとんどの人は混合肌でちょっとした敏感肌
スキンケアに関心のある人であれば、きっと「自分の肌質は○○肌」という自己認識を持っていると思います。
しかし、結局は肌が荒れているかどうかという問題であって、肌が荒れていれば程度の差こそあれ乾燥肌・脂性肌・敏感肌すべての症状がでます。
肌が荒れたときに乾燥するかオイリーになるかは、その部分の皮脂腺の発達具合によります。
上にも書いた通り、肌が乾燥すると皮脂の分泌を増やしてそれをカバーしようとします。そのため、鼻を含むTゾーンなど皮脂腺が発達している部分はオイリーになります。
しかし、Uゾーンなどは皮脂腺があまり発達していないため、カバーしたくても皮脂を出す能力がありません。それゆえ、これらの部分は為す術もなく乾燥に身を任せるしかないのです。
このようにして同じ人の顔のなかでも「部分的にオイリー、部分的に乾燥」というまだら模様が生まれてくるわけです。
Tゾーンはオイリーだけど、Uゾーンは乾燥している、そして総じて肌が刺激に少し敏感である──というのが大半の人に当てはまる肌質かと思います。
肌質は気のせいのようなもの
自分がどの肌質だと考えるかは、肌のどのくらい荒れているか、それによりどのようなトラブルが前面化しているか、によって決まってしまうところがあります。
肌が荒れれば多かれ少なかれ乾燥肌・脂性肌・敏感肌すべての症状が出ますが、そのうちで本人がどれを気にしているかによって自己認識が変わってくるということです。
例えば、肌の荒れ方がそれほどひどくなく、頬などの乾燥がちょっと気になる程度の人は自分は乾燥肌だと考えるでしょう。
もう少し肌が荒れていて、鼻など皮脂腺が発達している部分に皮脂トラブルがでている人は自分は脂性肌だと思うでしょう。
もっともっと肌が荒れていて、いろいろな刺激に過敏に反応してしまうようであれば敏感肌という判定をくだすでしょう。
肌質判定なんてその程度のものだと思います。あまり「自分は○○肌」ということにこだわる必要はありません。