オイル化・乳化が遅い!クレンジングクリームの「転相」の仕組みを理解して使いこなそう

「指先がふっと軽くなったらメイク落ちの合図です」

クレンジングクリームの説明書きによく書いてありますね。

この「ふっと軽くなる」現象のことを、専門的には「転相」、一般的には「オイル化」「乳化」などと呼びます。

クレンジングクリームを使っていて困るのは「転相が遅い」ときです。

転相のタイミングはある程度コントロールすることができますが、そのためには転相の仕組みを理解している必要があります。

そこで今回は、

  1. クレンジングクリームの「転相」のメカニズム
  2. 「転相」(オイル化・乳化)が遅いときの対処法

の2本立てで説明していきます。

「仕組みはどうでもいいから、対処法だけ知りたい!」という方は2章に飛んでください

1)クレンジングクリームの「転相・オイル化・乳化」とは?

クレンジングクリームの「ふっと軽くなる」現象

使ったことがある人ならわかると思いますが、クレンジングクリームでメイクを落とすときには以下のような変化があります。

最初はなめらかなクリーム
→徐々にクリームが重くなってくる
→あるところで突然ふっと軽くなる(メイク落ちの合図!)

この「ふっと軽くなる」現象のことを、クリームの「転相」と言います。オイルのようなテクスチャーに変わるので、「オイル化」と呼ばれることもあります。

俗に「乳化」と呼ばれることもありますが、正確には乳化ではありません。むしろ逆で、安定していたクリームの乳化状態が解除されることによって起きる現象です。

では、どのような仕組みで「転相」が起きるのか?

しばしば「肌の熱でクリームが溶けてオイル化する」と捉えている人もいますが、実際にはそうではありません。

「転相」とは、一言で言うと、クリーム中の「水分」と「油分」の勢力図がひっくり返る現象です。

……といきなり言われてもピンとこないと思うので、以下、順を追ってクリームの変化を見ていきましょう。

クレンジングクリームはこうして「転相」する

クレンジングクリームは初期状態では「水の中に油がある状態」になっています。水分の方が優勢なのですね。

さて、このクリームを肌の上でくるくるとメイクに馴染ませます。すると……

①肌の熱で温められてクリームの水分が蒸発していく
②メイク料の油分がクリームに溶け出してくる

という変化が起きます。つまり、クリーム中の水分が減り、油分は逆に増えるわけです。

最初は徐々にクリームが重たくなっていきます。「水の中に油がある状態」を維持したままで、水の中にある“油という荷物”が増えていくためです。

そうして、ある一定のところまでくると、それまでギリギリ保っていた水分の優位が覆されて、油分が優勢になります。すると一瞬にして「水の中に油がある状態」から「油の中に水がある状態」にクリームがひっくり返ります。

これが「ふっと軽くなる」瞬間です。

油分が優勢になると、クリームはオイルのようなテクスチャーに変化します。油が外側に来るので、油性のメイク料とよく馴染むようになり、メイク落ちが強化されます。

さて、オイル化してメイクとよく馴染んだら、今度は水ですすぎましょう。大量の水分が投入されます。すると、再び水分が優勢になって、クリームがひっくり返ります。

これを「再乳化」と呼びます。初期状態に戻るわけですね。今度は水分が優勢になるので、すすぎの水とよく馴染むようになり、洗い流すことができます。

以上がクレンジングクリームの「転相」の仕組みです。

油分と水分の勢力図が入れ替わるとひっくり返るという点がポイントです。

転相があるからこそクレンジングクリームは肌に優しい

この「転相」という現象は、クレンジングをする上で非常に都合のいいものです。

油性のメイクと馴染むときは油分が優位、水で洗い流すときは水分が優位、と都合よく形態変化するわけですからね。

このような仕組みがあるからこそ、クレンジングクリームは界面活性剤の使用量が少なくて済み、メイク落ちが良いにも関わらず、もっとも肌に優しいクレンジングになっているのです。

※ちなみに「転相」が存在するのは、クレンジングクリーム・油分の多いクレンジングミルク・油分の多いクレンジングジェルの3種類だけです。油分と水分が拮抗するくらいの比率で含まれている場合にのみ起こります。

2)クレンジングクリームの転相(オイル化・乳化)が遅いときの対処法

クレンジングクリームを使っていると、「転相が遅い!いつまで経ってもオイル化しない!」という状況になることがあります。

クレンジングクリームは「転相」によってオイル化してメイクと馴染みます。裏を返せば、「転相」するまではメイクがろくに落ちないということでもあります。

「転相」のタイミングは商品によって微妙に変わります。どれだけ「転相」が首尾良く起きるようにできるかは、化粧品メーカーの腕の見せ所でもあります。

とはいえ、使い方によっても「転相」のタイミングは大きく変化します。

「転相」が遅れると肌の上でクルクルしている時間が長くなり、肌に負担がかかります。なので、できるだけ「転相」を早くするのがポイントになります。

転相(オイル化・乳化)が遅いときは?

以下のことに気をつけましょう。

1:濡れた手・濡れた顔で使わない
すでに述べたように、クリームの水分が蒸発することによって「転相」が起きます。手や顔が濡れている状態で使ってしまうと、クリームに水分が混じって「転相」が遅くなり、いつまでも肌の上でクルクルしていなければならなくなります。また、容器に水が入ってしまうと品質が著しく劣化します。浴室で使うのがあまり推奨されないのはこの辺りに理由があります。

2:クリームの適量を守る
肌を擦らないようにとクリームを必要以上に使ってしまうと、「転相」が遅れてしまいます。量が多い分だけ、クリームの勢力図がひっくり返るのに時間がかかるためです。かといって、クリームの量が少なすぎると肌を擦りがちになりますので、適量を守って使用しましょう。

3:転相が遅いときはクリームを温める
クリームの温度が高いほど水分が蒸発するのが早くなり、「転相」のタイミングも早くなります。寒い場所に置いておいたりすると、クリームが冷えて転相が遅くなってしまうため、それなりに暖かい場所で保管しましょう。使用前にクリームを手のひらで温めるのも効果的です。

4:無理にクルクルしないで放っておくのも手
どうしても転相が遅いクリームで、クルクルしながら待っていると摩擦で肌に負担がかかってしまいそうなときは、もうクリームを塗ったまましばらく放っておきましょう。無理にクルクルしなくても、肌の熱で温められてクリームの水分が蒸発すれば勝手にオイル化します。

とにかく、いかにして水分を飛ばし、スムーズに転相させるかがポイントです。

まとめ

以上、クレンジングクリームの「転相」について見てきました。

管理人ははじめてこの仕組みを知ったとき「クレンジングクリームすごい!」と感動したのですが、どうだったでしょうか?

ちなみに「転相が早い=優れた商品」か?と聞かれると、必ずしもそうとは言えない難しさがあります。

「転相が早い=メイクを溶かすのが早い=洗浄力が強すぎる=肌に悪い」というパターンがありますので……。遅すぎるのは困りますが、かといって早すぎるのもちょっと心配になりますね。

むしろ管理人の経験上、肌に優しいクレンジングクリームには転相がやや遅めなものが多いような気がしています。

いずれにしても、転相のタイミングをコントロールできれば、ストレスフリーでメイク落としができるようになります。ぜひ皆さんも色々試しながら自分に合った方法を探してみてくださいね!

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