「メイク落としシートを毎日使ってもいい?」
「やっぱり肌に悪い?」
ネットで調べても賛否両論あってどっちが正しいのかわからない!という人も少なくないと思います。
結論から言えば、メイク落としシートはやっぱりダメです。
この記事では、専門家の意見を引用しつつ、メイク落としシートがどれほど肌に悪いのかを説明していきます。
専門家「メイク落としシートは肌に悪いからダメ」
メイク落としシートに対する専門家の意見は「肌に悪い」でほぼ一致しています。
手元の書籍からいくつか引用してみましょう。
皮膚科医の吉木伸子氏。
「時間がないときでも手軽に使える」という理由で人気のシート状や、ふきとるタイプのものは、もっとも肌を傷めます。ふきとる刺激は、肌にとても悪く、毎日おこなうと赤ら顔になったり、シミをつくってしまうこともあります。
吉木伸子『スキンケア基本事典』p53
単に肌に悪いだけではなく、赤ら顔やシミの原因になる、という内容です。
次は皮膚科医の檜垣祐子氏。
シートタイプのクレンジング剤は、手軽ではありますが、油分でメイクを浮かせるプロセスを省いて界面活性剤だけで落とすもので、アルコールや防カビ剤が含まれているものもあり、肌への刺激はそのぶん大きくなってしまいます。
さらにシートで拭く摩擦が肌の負担となりやすいので、旅行先などで使用するのには便利ですが、毎日のケアにはあまりおすすめできません。
檜垣祐子『皮膚科専門医が教えるやってはいけないスキンケア』p136
成分的にも肌に悪いし、肌を擦るのも負担になる、という内容です。
同じく皮膚科医の北原東一氏。
今は、拭きとるだけでマスカラも口紅もファンデーションも落ちる、という拭きとりタイプのクレンジングシートなるものも出回っています。
(中略)
顔ですよ。拭くだけですか? 皮膚の表面には細かいキメや毛穴の凹みがあるのです。拭くだけでいいのかしら? ダメでしょう。もしくは拭くだけでとれてしまうような強力な洗浄力のあるものを肌につけてもいいのかしら? ダメでしょう。北原東一氏『誤解だらけのスキンケア』p62
肌のキメや毛穴にメイクが残るし、残らないような洗浄力ならそれはそれで肌に悪い、という内容です。ちなみに、この後には「擦る」「拭き取る」という行為がどれほど肌に悪いかの話が続きます。
それから、もう一つ。
雑誌『美ST』の企画で、皮膚科医や美容家などの専門家6人にスキンケアの疑問を聞くというものがありました。
下の写真はその中の一つで、「拭き取りタイプのクレンジングを毎日使ってもいい?」という質問に対する答えです。
↑『美ST』2016年1月号p175
見ての通り、6人中5人は「毎日使うのはよくない」という回答になっています。
ちなみに、唯一使っていいよと答えている方は元化粧品メーカー(クレンジングシートも販売している)の人です。察しましょう。
管理人は美容関連・スキンケア関連の書籍をたくさん読んでいますが、専門家で「クレンジングシートを毎日使ってもいい」と言っている人なんてまず見たことがありません。「肌に悪いからダメ」と一蹴される場合がほとんどです。
肌や化粧品に詳しい人間からすれば、ちょっとOKサインを出すわけにはいかないクレンジングであることは疑いありません。
メイク落としシート(クレンジングシート)とは?
簡単に言えば、シートに「水」と「洗剤」と「アルコール」を染みこませたものです。
洗剤は「界面活性剤」と言って、メイクを溶かすための成分です。これが肌の保湿成分やセラミドまで溶かしてしまうので、ものすごく肌に悪いわけです。
シートに染みこんでいる程度の量でメイクを溶かさなければならないので、界面活性剤の使用量が非常に多いのも問題です。
「アルコール」も高濃度配合すると、メイクを溶出する作用がでてきます。保湿成分やセラミドまで溶かしてしまうのはこちらも同じです。
また、アルコールは肌に染みやすい成分ナンバーワンですから、肌が荒れている人だとピリピリした刺激を覚えることになります。
メイク落としシートは、成分的に見ても一般的なクレンジングより肌に負担が大きいのです。
商品によってはメイク落ちを向上するために「オイル」を含んでいるものもあります。
オイルを多く含んでいると、メイクを浮かせるというプロセスが入るので、多少マシにはなります。しかし、絶対的に量が少ないので、肌を擦らないと落ちないのは相変わらずです。
メイク落としシートのデメリット
メイク落としシートのデメリットを挙げるなら以下の通りです。
- 強すぎる界面活性剤(洗剤)によって肌バリアが損なわれる
- 脱脂力が強いので肌が乾燥する
- 肌を擦る刺激が肌荒れやニキビの原因になる
- どうしても肌のキメや毛穴にメイクが残る
- 刺激が強いので肌がかぶれやすい
- 繰り返される摩擦によって色素沈着を起こしやすい
「手軽である」という点を除けば、メイク落としシートはデメリットしかないようなクレンジングです。
「界面活性剤」と「擦る」という行為は、肌がもっとも苦手とする2大要素です。
「界面活性剤の染みこんだシートで擦る」というメイク落としシートは、ほとんど自分から肌荒れを作ろうとするようなものと言ってもいいです。
乾燥肌や敏感肌の直接的な原因になるばかりではなく、最悪かぶれや皮膚炎などを起こすこともあります。
毎日の使用はシミ(色素沈着)の原因になる
メイク落としシートを毎日使うのはメラニンによる色素沈着の原因になります。
肌はミクロレベルの構造物であり、とても繊細です。皮膚感覚では柔らかく感じられるシートでも、肌を覆っている細胞にとっては硬い繊維の集まりです。
乾いた状態で擦られるならまだしも、洗剤を染みこませたシートで擦られればひとたまりもありません。
同じような刺激が繰り返されると、肌はその部分の防御力を高めようとします。皮膚が厚くなるのもそうですし、メラニンを生成するのもそうです。
いずれにせよ、肌のくすみや黒ずみ、色素沈着などにつながります。
特に目元や目の下は極めて皮膚が薄いため、ちょっとした刺激であっても、繰り返されるとメラニンによる色素沈着を起こしてしまいます。
摩擦刺激によって目の下に茶色のクマのような色素沈着ができている人はけっこう少なくありません。一度できてしまうと治すのは大変です。
本当に洗い流さなくてもOK?
クレンジングシートの中には「拭き取った後は洗い流さなくてもOK」となっているものもあります。
しかし、せめてすすぎを行わないと、肌に思いっきり界面活性剤が残ります。よく言われるように「洗剤をつけたまま寝るようなもの」です。
実際、拭き取った後そのまま寝ると、肌に残った成分にかぶれてしまうケースもあるようです。
アルコールで落とすタイプのシートならまだわかりますが、界面活性剤で落とすタイプの商品なのに「洗い流さなくてOK」というのは、いくらなんでも…と思います。
もし出先などでどうしても水が確保できない場合は、化粧水やミネラルウォーターなどのキレイな水をティッシュやコットンに含ませ、肌にひたひた当てることで、すすぎの代わりにしましょう。そうするだけでも、肌に残った成分を大分減らすことができます。
メイクを落とさないよりはマシ?
「メイクを落とさないで寝るよりはマシ!」と言われることがありますが、どっちもどっちです。
むしろ、メイク落としシートを使うくらいなら、メイクを落とさないで寝て、起きてから普通にメイク落としをしたほうが肌に負担が少ないくらいです。
女性の中には「メイクをしたまま寝る」ということをスキンケアにおける大罪のように思っている人が多いです。「メイクをしたまま寝ると肌が数年分老ける」なんてトンデモ話すらあります。
ですが、実際にはそこまで肌を痛めつける行為ではありません。
もちろん、メイク料は時間の経過とともに肌の上で酸化します。酸化した油脂はじわじわと肌にダメージを与えるので、早めに落とすことに超したことはありません。
連日メイクを落とさずに寝ていたら、肌の調子が徐々に悪くなっていきますし、肌質によってはニキビができるでしょう。
しかし、メイク落としシートが肌に与えるダメージは「じわじわ」などというレベルではないのです。せいぜい6~8時間分の酸化ダメージを避けるために、メイク落としシートを使うのは割に合いません。
メイク落としシートをやめれば肌はキレイになる
生まれつき肌が丈夫だったりして、クレンジングシートを使っても肌荒れを起こさない人は確かにいます。
ですが、目に見えて肌が荒れるところまでいかなくても、クレンジングシートを使っている分だけ、肌の美しさは確実にスポイルされています。
肌の弱い人はもともとメイク落としシートなんて使うことができませんが、使っても平気な人であっても肌がダメージを受けていないわけではありません。単に、はっきりと自覚できるような形で悪影響が出ていないというだけです。
また、継続使用によるダメージの蓄積も心配です。一度や二度の使用では変化が表れなくても、何度も繰り返されればシミやシワにつながります。
クレンジングシートを使っても肌荒れしない人というのは、もともと肌の基礎体力が高くて恵まれた人です。せっかくのアドバンテージなのですから、どぶに捨てるようなことをしないようにしましょう。
受けるダメージが減れば、その分だけ肌は確実にキレイになりますよ。
まとめ
以上、メイク落としシートがどれほど肌に悪いかを力説してきました。
「肌に悪いことはわかっているけど、便利だから…」という声も聞きますが、そこまで便利でしょうか?
シートで拭き取った後に洗顔をしているなら、肌に優しいクレンジングクリームなどで落としてもそこまで手間は変わらないと思います。
顔にちょんちょんとクリームをつけて1分ほどヌルヌルしてから、洗面台で流してくるだけです。
たったそれだけの違いで、もっとも肌に悪いクレンジングから、もっとも肌に優しいクレンジングに変えることができるのです。どれほど肌がキレイになるかわかったものではありません。
少しの手間を惜しんでメイク落としシートを使ってしまうのは、本当にもったいないことだと思います。
出先などでどうしてもやむを得ず使うこともあるかもしれませんが、メイク落としシートを毎日使いつづけるのは絶対におすすめしません!