最近「朝だけ水洗顔にする」という洗顔法をよく見かけるようになりました。
乾燥肌対策としてだったり、ニキビ対策としてだったり、さまざまなシチュエーションで推奨されているのを目にします。
しかし、朝の洗顔を水ですすぐだけにするというのが本当に肌に良いのか?というと、かなり疑問なところです。
今回は「朝だけ水洗顔」の問題点とそのデメリットについてまとめました。
「朝だけ水洗顔」はおすすめできない
結論から言ってしまうと、朝だけ水洗顔にするというのは、正直おすすめできません。
NGとまで言えるかどうかは微妙なところですが、ほとんどの人の場合、朝もきちんと洗顔料を使った方が肌はキレイになります。
朝も泡洗顔の方が肌に良い
水洗顔と泡洗顔を比べれば、基本的には泡洗顔の方が肌に良いです。これは朝でも夜でも変わりません。
洗顔料を使った場合とそうでない場合とでは、汚れの落ち具合に雲泥の差があります。油物に使った食器を水だけで洗うことを考えてみてください。
それゆえ、水洗顔は汚れが多少残ることを承知の上での洗顔法になります。明確な理由(洗顔料の刺激を避けたいなど)がない限り、洗顔料を使わないという選択にメリットはありません。
特に、後述するように、基礎化粧品(化粧水・美容液・乳液・クリームなど)を肌に塗っているのであれば、朝もちゃんと洗顔料を使って洗顔しないと、肌がダメージを受けてしまいます。
水洗顔は、皮脂の分泌量が少なく、かつ肌に何も塗っていない、くらいの人でないと洗浄力が低すぎて、汚れを十分に落とすことができないのです。
「朝だけ水洗顔」は中途半端
そもそも「朝だけ水洗顔」は考え方として中途半端です。
洗顔は基本的に、
・朝も夜も泡洗顔にする(乾燥肌・健康肌・脂性肌)
・朝も夜も水洗顔にする(超敏感肌)
のどちらかにするべきです(敏感肌の場合は程度によります)。
原則として、水洗顔は、洗顔料の刺激に反応してしまうような肌(超敏感肌)の人のための洗顔法だと思ってください。もし洗顔料を使用できる肌状態であれば、きちんと洗顔料で洗顔をした方が肌の状態は上向きになります。
洗顔料を使うべきかどうかの判断基準は、汚れが多いか少ないかという相対的なものではなく、洗顔料が使える肌状態かどうかという絶対的なものです。
洗顔料が使えるなら使った方がいい、肌が過敏な状態なら使わない方がいい、が鉄則です。
朝も泡洗顔をして問題ない
「朝から泡洗顔をすると肌が乾燥する」などと言う人がいますが、これは正しくありません。
洗顔料を使っても、正しく洗顔をすれば肌がダメージを受けることはありません。
もし泡洗顔をして肌が乾燥するとすれば、それは単純に“洗いすぎ”になっているせいです。洗顔料を使うこと自体が問題なのではなく、洗顔のやり方がまずいのです。
泡洗顔はやり方一つで100点にも0点にもなり得ます。正しく行えば、汚れを十分に落としつつ、肌を痛めることもありません。しかし、少しでも洗いすぎの洗顔をしてしまうと肌は大きなダメージを受けてしまいます。
もし朝の泡洗顔で肌が乾燥しすぎるように思える人は、一度洗顔方法を見直してみるべきでしょう(参考:正しい洗顔のやり方まとめ)。
「朝だけ水洗顔」のデメリットとは?
「朝だけ水洗顔」はなぜおすすめできないのか?
それは、洗顔料を使わないと肌に古い油分が残ることになり、過酸化脂質によるダメージを多く受けてしまうためです。
朝は汚れが少ない?
朝だけ水洗顔にするという発想の裏には、「朝は汚れが少ない」という考えがあります。
「昼間は外出したりして肌に汚れがたくさんつくけれど、夜はきれいな室内で過ごす。朝の時点では汚れがほとんどついていないので、洗顔料を使わなくても大丈夫である」ということですね。
たしかに、朝と夜を比べたときに、夜の洗顔の方が重要性が高いのは事実です。
しかし、だからといって、朝の洗顔時に汚れが肌についていないか?というと、そんなことはありません。
屋外にいても屋内にいても変わらず肌に付着する汚れがありますね。皮脂と化粧品の汚れです。
皮脂と化粧品の汚れは朝も夜も同じ
洗顔料を使う最大の理由は、皮脂と化粧品の油分を落とすことにあります。
汗や塵埃などの汚れは水だけで十分に洗い流すことができますが、皮脂や化粧品に含まれる油分などは水と馴染みませんから、洗顔料を使わないとキレイに落ちません。
皮脂は起きていようが寝ていようが毛穴から絶えず分泌されます。基礎化粧品も前夜に使っている人が多いでしょう。
皮脂だけならまだしも、基礎化粧品は肌にしっかりと定着するため、水だけの洗顔で落とすのは至難の業です。化粧品はさまざまな化学成分でできていますし、乳液やクリームには多量の油分が含まれています。
つまり、どれほど清潔な室内にいようと、朝の時点ですでに肌の上には油汚れがしっかり張り付いているわけです。「キレイな室内で寝ているのだから汚れがつかない」というのはただの思い込みに過ぎません。
過酸化脂質によるダメージ
朝晩に洗顔をする最大の目的は、「肌の上にある油分を定期的に取り除く」という点にあります。なぜなら、肌の上にある油分は常に酸化が進行しているためです。
例えば部屋の掃除であれば、毎日する代わりに、二日に一回に変えてもいいでしょう。汚れを溜めておいても部屋自体が痛むことはないからです。
しかし、肌の場合は違います。肌の上に油分を長時間とどめておくと、土台である肌そのものがダメージを受けてしまいます。
肌の上にある油分は空気に触れているだけで酸化し、「過酸化脂質」という肌にダメージを与える物質に変化します。肌に有益な皮脂や化粧品も、時間の経過とともに酸化し、肌に有害な物質に変わってしまうのです。
油分の酸化は24時間つねに進行しています。それゆえ、過酸化脂質によるダメージを最小限に抑えるためには、12時間ごとに肌の上の油分を取り除き、皮脂膜や化粧品による保護膜を新しいものに更新する必要があります。
過酸化脂質がつねに進行しつづけるダメージである以上、夜にしっかり洗顔するから朝は軽めで良い、ということにはならないのです。
朝も洗顔料を使いましょう
結論としては、朝もきちんと洗顔料を使って洗顔をするべきです。
「水洗顔は本当に肌に良い?」の方にも書きましたが、洗顔料の使用そのものが肌に悪いということはありません。
もし朝に泡洗顔をするとどうしても肌が乾燥するというのであれば、洗顔料をまったく使わないのではなく、洗顔時間を短くするようにしてください。
たとえ洗顔料で洗っている時間がたったの5秒間であっても、水洗顔に比べれば汚れの落ち方が段違いによくなります。まったく使わないよりは、ちょっとだけでも使った方が良いのです。
ただし、超敏感肌の人だけは話が別なので、洗顔料が肌に染みるような方はこちらの記事を参照してください。